変わらないモーニングコール

シンと静まり返るある人物の部屋にモソモソと動き回る人影がひとつ。


…私、藤原れんか。ただいまより任務を遂行しようと思います。

「…スー…スー…」


規則正しく寝息を立てているのは幼なじみの花井梓。ちなみに、ストレスが原因で頭部が薄くなり始めているのが悩みらしいです。誰か彼にどうしたら毛が生えてくるか知っている人がいたら教えてあげてください。随時募集中です。


さて、本題に戻るとしよう。今回のミッションは目の前でぐうぐう眠っている梓を(叩き)起こすこと。

ふふふ…。安らかな安眠を梓なんかに提供してやるものか!


梓には『早起きは三文の得だ』と言われ起こされた私と同じ目に合ってもらう。そうです。ようは、以前やられた怨みを晴らすのです。


「…スー…スー…」

「ぐっもーにん!梓くん今日も良い天気だね」


外は生憎の雨だがそんな細かいことは気にしないのだよ。


「…スー…スー…」

むう。全く起きる気配がない。何故だ。いつもならこうやっていれば起きるは―…。

言いかけて目にとまったのは、梓の両耳に入っている二つの耳栓…。


「耳栓だと!?どんだけ用意周到なんだよ、こんちくしょう!」


怒ったぞ。私本当に怒ったからね。両耳に入っている忌々しい耳栓を引き抜き、梓の耳元に唇を寄せる。

一見すると甘い雰囲気が漂うように見えるが、実際は違う。嵐の前のなんとやらだ。


「ぐっもーにん!薄毛が悩みの我らのキャプテン、花井梓くん。良い天気だね!」

「んなっ、れんか!?なんでお前が此処に!?」


私の声が余りに綺麗に響いたのだろう、布団から飛び起きて両耳を押さえている。

今回のミッションは無事終了したので早々に退散しようと思います。
では、アデュ―…。

「うわっ」

「おいれんか、ちょっと待てよ」

「いやだああああ」


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