どこを見ても君がいる
最近本当に困ったことがあるのです。私には幼なじみがいるのですが、その彼をいつも目で追ってしまうのです。
彼のひとつひとつの行動が気になったしまうのです。
「おはよう!梓」
「おう。れんかおはよう」
普通に挨拶をしているように見えるけれど最近は彼を意識し過ぎて内心どきどきしている。けれど、以前私の友人が梓のことをカッコいいと言っていたのを思い出すと胸が苦しくなった。
梓にとって私はただの幼なじみなのだろうか?そう思うとなんだか寂しい。
「…あずさ」
消え入りそうな声でそっと呟く。この声と一緒に寂しさや苦しさも消えてしまえばいいのにと思った。
「どうかしたのかれんか。机に突っ伏して…もしかして体調が悪いのか?」
「…なんでもない。梓には関係ないことだから」
私と向き合う形で心配そうに覗き込む梓に驚きながらも素っ気ない態度をとる。きっと梓は優しいから心配をしているのだろう。
『梓は誰にでも優しいから。』
「梓のばか」
「人に向かっていきなり馬鹿はないだろ!?しかも真顔でって…いくらオレでもへこむんだが」
「じゃあもう私に関わらないでよ!!」
バンッと机を乱暴に叩いて言ってしまった。しまったと思った時にはもう遅かった。
「…今日のれんかなんか変だぞ」
「……ごめん」
怪訝な顔をする梓を後に私は教室から逃げるように立ち去った。
(っ、梓のばか。なんでいつも私の視界に入っちゃうのよ…っ!!)
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