「クラスの子があんたのことかっこいいって言ってたよ」
おかしい…。
何がおかしいってれんかの態度だ。いつもならオレが嫌だって言っても止めないくらい手を出してくるのだが今日に限って何もしてこないのだ。
それにオレがおはようと挨拶をすると必ず笑顔で挨拶するのにれんかは無言だった。何度もオレはれんかに何かしたのかと問い掛けたが終始無言だ。
(ウンともスンとも言わねぇな…)
いくらオレが陰で西浦の母と言われるほど寛大な心を持っていると言われてもこんな態度をされれば怒りが込み上げてくる。
もう一度問い掛けて返事がこなかったらキレてやる。そう決心してれんかに理由を聞いてみる。
「なあ。オレお前に何かしたか?」
「……………。」
眉間がピクピクと痙攣しているのを感じる。大丈夫だ。まだ我慢出来る。
「なんだよ。今日のれんかなんか変だぞ。オレお前を怒らせるようなことしたか?もし、してたなら謝るから―…。」
「っ、怒ってない」
「怒ってるだろ」
「べ、別にクラスの子が梓のことカッコいいって言ってて怒ってた訳じゃないし」
「はあ?」
思いもよらない言葉に間抜けな声を出してしまった。そんなオレの態度が気に入らなかったのかれんかは不機嫌な顔をした。
何故クラスの奴らがオレのことをカッコいいと言っていただけでれんかはそんなに怒るのだろうか。
…もしかして。
(れんか嫉妬してるのか?)
(な!?そ、そんな訳ないでしょ!梓のばーか!ハーゲ)
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