この恋には気付かなかった
 
最近れんかが他の奴ら(主に野球部のメンバー)と楽しそうに話しているのを見ていると酷く苛々する。

れんかが周りの奴らと仲良くしているのは良いことなのだが…。

以前ならこんなに悶々と考えることなんてなかったのに…くそっ!!
これも全部あの夢のせいだ。


「なんか、ムカつく…」

「むむ。梓、何がムカつくのー?」


聞こえないように呟いた筈だったのだが、そういうことには目敏(めざと)いらしくひょっこりと#れんかが現れた。


(地獄耳だよな…れんかって)


そう口にすれば怒られるのは分かっていたので黙っていたら「今、失礼なこと思ったでしょ!?」と言われ頭を軽く殴られた。


普段ならこの後怒るのだが、何故だか嬉しくなってしまった。別にオレがMだからって意味ではなく、れんかとのこの何気ないやり取りが嬉しかったのだ。


「梓…なんか悩みでもあるの?」


れんかは心配そうな声で言っているが顔は若干引いているようだ。ハッとなって先刻までのオレの顔が緩みっぱなしだったことに気付く。

…時既に遅し。だけどな。


「んなっ。ち、違うんだ!!これは誤解なんだっ」


必死に誤解を解こうとしてみるが、れんかに「はいはい」と言われるだけで人の話を全く聞いてくれない。

お陰で遠くでオレたちのやり取りを見てていた阿部と水谷も寄ってきた。


「あ、阿部……と水谷聞いてよ。梓ったらねー、人には言えないような性癖の持ち主だったんだよっ」

「って、藤原さん何気にオレの扱い酷くない!?」

「水谷うっさい」

「あー…。まあ人それぞれだし、オレは花井の性癖についてとやかくは言わねえよ…ただ以前よりは距離を置くがな」

「だから違うって言ってんだろ!?それに阿部、距離を置くってなんだよ。」

「花井こっちくんな。お前の性癖が伝染する」

「だーかーら。誤解なんだって!!」

「大丈夫だよ、花井。オレはお前のこと信じてるから…」

「じゃあ何故目線をオレから逸らすんだよ。水谷、お前絶対信じてないだろ!?」

何度も何度も違うと否定をするがその度に「へぇ」やら「ふうん…」等と生暖かい眼差しをオレに向けるだけだった。



「花井、そういうの性癖から始まる"恋"って言うんだぜ?藤原との相性もバッチリだ。良かったな。」


阿部に、れんかには聞こえないようにこっそりと耳打ちされた。



(ばっ、んな訳ねえだろ!?)
(はいはい。そういうことにしとこうな)
(生暖かい目で見るなー!!)


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