昔は俺が婚約者だったのに(「おっきくなったらお兄ちゃんと結婚する!」的な意味で)
「そう言えばよー」
「ん、何?」
唐突に隆也くんが何かを思い出したように話出した。
「昔さぁ…れんかとオレ、大きくなったら結婚する!って言ってたな」
ぶーっ!!
口に含んでいたジュースを盛大に吹いてしまった。阿部くんはそんな私にお構い無くペラペラと語り出す。
(嗚呼、こうなったら止められないんだよな)
私は熱く語るアイツを軽くスルーして溢してしまったジュースを片付ける事に専念する。
「…で、その約束はまだ使えるよな?れんか。」
「……はい?」
「だーかーら!オレがれんかの婚約者だよな」
満面の笑みでそう言う隆也くん。
(知らないんですか?隆也くん、兄妹は結婚出来ないんですよ?)
(えぇ!?そうだったのか!?)
(…知らなかったんだ、でも私は兄妹じゃなくても断るけどね!)
(れんか酷い…。)
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