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何度も 何度も (透明アンサー)

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――もしも 僕がいなかったら。



この答は、すぐにわかる。




――もしも 君がいなかったら。




この答は… わからない。



どんなに考えたって、どんなに頭を使ったって、わからない。






そう、一生。







ざわ ざわ…



今日も始まる、いつもと変わらない日々。



 (はぁ……)



つまらない。 ただそれだけ。


信じられないくらい暇だから、教室を必要以上に丹念に見渡してみる。



真冬ということもあり、マフラーをしている人がたくさんだ。



ピンクと白のチェック。


無地のベージュ。


英語のロゴが入ったネックウォーマー。




…つまらない。



 (…はぁ……)



ため息ばっかりだ。




くだらない事ばかり考えていた、そのとき。





どんっ



「おはよっ!!」



赤いマフラーをした少女が、軽くどついて挨拶してきた。


「……はよ。」



相変わらず無愛想な俺。 モテないわけだ。



「もーう、朝からテンション低いなぁ、」


「…あ、今日テスト返却だねっ、自信はどう?」



俺の素っ気ない反応にめげずに、笑顔で話しかけてくる。


「…別に。」


またやってしまった。



「そっかぁ、でも秀才君だもんね。 私も今回は頑張ったよっ!!」



俺は、秀才でもなんでもない。




ただ――





ガラッ!!


『席つけぇ 前のテスト返すぞー、出席番号順にとりにこいー』


先生って、なんで語尾がのびるんだろうな。


聞いててうざったいっつうの。



とか思ってるうちに、名前を呼ばれた。



無言で、無表情でソレを見る。




『100 
 ===

Verygood!!』



赤ペンで、でかでかと書いてある。


(…ふん。)



嬉しさなんて湧いてこない。


欠片も感じない。




ガタッ



となりの席から



「あっちゃー…」


という声がした。


赤いマフラーに顔を埋め、体が少し震えている。


「はぁーぁ……」



くぐもった声でため息をついている彼女の再生紙を見ると



『56
   
     』


とだけ書かれている。


丸もあるけど、バツもそれなりに、ってところだ。



「…あっ、見ちゃった?!」


ガバッと顔をあげ、彼女は照れたように顔を赤らめた。


「うーん… まずまずだなぁ…」


とか言ってる彼女は本当に大丈夫なのだろうか。





(…はぁ)




――何をしたって、いい結果になってしまう。



どんなにサボったって 結果はついてくる。



そんな経験をしている人は、多分俺しかいないだろう。



答がすぐ浮かんでしまう。



何事にも。 なんだって。




「…それじゃほら つまんないよ??」



不意に、彼女はそう言った。



(…え、なに……



折り鶴をもった彼女は、優しそうな笑顔でこちらを見ている。



その紙には、複数の赤い線が。


おそらく、さっきの『56』点の再生紙で作ったのだろう。




普通の人なら点数のところを折り曲げたり、くしゃくしゃに丸めて捨ててしまったりするだろう。




でも、君は違う。



苦痛なことでも逆手にとってしまう。



だから、



――君はいつも 楽しそうだ。






放課後。



部活もない、習い事もない、没頭できるような趣味もない。



暇を持て余し 夕日に照らされている街を屋上から眺めていた。



(…はぁ…)



カサっ



今日もらった、三点満点の再生紙。



(…こんなもの…)


びりっ



ぱらぱら……



フェンスの隙間から、さほど細かくない千切れた紙を投げ捨てる。



風に吹かれて、校庭に落ちていく紙切れ。



(…切ねぇな。)



くいっ



不意に、首にあたたかくてもふもふしているものをかけられた。



(…っ??)



振り向くと、赤いマフラーを持った少女が笑顔で立っている。


「えへへ、やーっぱりここにいたー!!」


無邪気に笑う君。


なんでここにいることがわかったのだろう。



「…わぁ、夕日きれいー…」


彼女の瞳は、夕日に照らされて輝いている。



「…かえろ??」



「…おう」



赤いマフラーと黒く艶めく髪をゆらゆらと揺らめかしながら、君は歩き出す。



「…あ、そういえばさ…」



くるっと踵を返し、思いついたように君が言う。



「朝、電話してるんだけど… 気づいてる…??」



「…あ、わりぃ 寝てるかも…」





嘘だ。


君はいつも電話をしてくる。


6時半きっかりに。




きっと起こしてくれようとしているんだと思う。


でも、俺はその電話にでたことがない。



なんでかは自分でもわからないが。



「…あのさ、迷惑だったらやめるけど…」



「あ、いや、寝てるだけだから。 大丈夫」



「そっ、か… ならよかった!!」




不安そうだった君の表情は、一瞬で晴れる。



(よかった…)


俺は、なぜだかほっとした。






――この時、俺は考えてもいなかった。





平凡だった日常が、壊されることなど。





君と、もう話せなくなることなど。






―――突然、君と別れが訪れるということも――






漂うような日々は、毎日続く。



寒い寒い冬は過ぎて


桜が舞う春もきて


俺たちは当然の如く進級したわけで。




蝉が鳴く、ごくごく普通のある日。




ガタ…


(…また早く着いちまった)


いつもいつも早く来てしまう。


別に、学校が楽しみだからではない。




学校なんて、  無意味だ。



(…遅せぇな)



黒板の上の時計は、8時17分をさしている。




登校時刻まであと3分。



隣のヤツは、まだ来ない。




きっと休みなんだろう。





…違和感。





(まぁどうあれ明日返されるテストも、変わんねぇんだろうな。)







そんなこと考えてる矢先。



俺の目に飛び込んできたのは、






―――花。




綺麗だけど不吉な色を放ったその花は



青い花瓶に入れられて。





その周りで女子が数人泣いている。


…いや、そういえば朝から女子がすすり泣いていたような……




その花の入った花瓶は、




俺の





俺の隣の席の机に、静かに置かれ。






女子が 泣き




教師も泣き







――俺はわからなかった。





どんなことでも一瞬で答がわかってしまう俺でも




答はわからなかった。




…いや、わからなかったのではない。






認めたくなかったのだ。









   きみが 




      
          死んだなんて――――。








目まぐるしくもない、そんな毎日は



どこかがもう狂ってしまったかもしれない。




来る日も来る日も



君は来なくて。



俺の隣の席は空いたままで。




君の、艶めく黒い髪も


君の  無邪気な笑顔も  




  誰かがもう 覚えてないのかもしれない。






そう思うと、考えることなんてできなくなって。



テストなんて 手に付けられなくなって。




『0 

   』



もう ショックなんて感情なくなってしまって。





(…なんにも、  わかってないじゃんかよ…)



君のこと 知ったように振る舞って



俺が一番わかってるなんて 自己満足して




(……お前のこと、一番わかってないのは……)










      俺   だった。








 少しでもそれをわかっていられたら、


どんなに楽になったのだろう。




放課後の教室で、一人寂しく席に座っていた君。


頬で光っている滴。



あの時、俺が声をかけていれば――。




後悔は募るばかりで。





6時半に来ていた電話も


もう一生来なくて。



自分でセットした朝のタイマー



『とめる』 ボタンを押す手が震えていて。




俺は




なんにもわかっていない。







また寒い冬が来て、


『100
 ===
very good!!』


精神状態が少し安定したと思われてるのだろうか。



(―――っ…!!)


いてもたってもいられなくなって、


教室を飛び出して



君とよくいた、屋上へ。





ざわわ……



冬だけど 今日は風がそんなに冷たくない。



(……)



ここで、マフラーをかけてもらったっけ。



自然と笑みが零れた。




…ふと、フェンスの下を見てみると




何かが落ちている。





―――確認しなくても、何か分かった。





寄り添いあっている、二つのモノ。






(……あれ……   

        …あのときの…… )





支え合うように、くっついている。






  ――――折り鶴。






俺の目から、一筋の涙が零れた。







『56』の再生紙で作られた折り鶴と、


テープで補修された『100』の再生紙で作られた折り鶴は、




冬の寒風に吹かれながら




いつまでもいつまでも






寄り添っていた―――――。










ここから飛び降りて いなくなった





  きみの笑顔を   




  僕は明日も






        忘れないよ。




*END*



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やっぱりこの曲は大好きなんです


泣ける……


http://www.youtube.com/watch?v=Rj5r4HXg_hs


聴いてみてください


心の中の何かが、変わるのでは…?(キメ顔)


閲覧ありがとうございました



 心々彩


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