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願い (リグレットメッセージ)

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ザザー… ザザザー…




今日は満月。



ここは、私の好きな場所(ところ)。





ザー…ン ザーン…ンッー…



「ほんとに、叶うのかな…」



海の向こう、はるか遠くの地平線を見て 呟く。



手には、あのボトル。


今日試しに実践してみることにしたのだ。




月の光が反射し、キラキラと輝く水面に見とれていると



「王女!」



懐かしい声が。



「やっと見つけた… その脱走癖、どうにかして下さいよ…」



ハァハァと息を切らせながら、私の召使は言った。



彼は私が手に持っているものを見ると、ちょっと驚いて少々呆れた顔をした。



「まさか… もう試しに来たのですか…?」



図星だ。



今日読んでいた本に書いてあった、ちょっとした迷信。





――――願いを書いた羊皮紙を

    
     小瓶に入れて


     海に流せばいつの日か

  
     想いは実るでしょう――――。






少し顔が熱くなった。



「だ、だって!! あんなこと知っちゃったら、居てもたってもいられなかったんだもん…」


小さな子供の様な言い方になってしまった。


「王女様も、乙女なところがあるのですね^^」



…バカに、された…?


「…むぅ…」


いじわる…




「なっ、なんでもいいでしょっ!」



手に持っているボトルを、海に向かって曲げようとしたその時。



パッ



ビュンッ!



ひゅぅぅぅ… バシャーン!




「あっ…」



勝手に投げられた。



私の願いなのに…



「ち、ちょっと、何するのよ!」



なぜか少し腹が立った。



それはあのボトルの中の紙に書いた、願いのせい?




「王女様の願いは、僕の願い。 幸せになって貰いたいから…」



「え……」



優しいのだ、とにかく。 昔から、そこだけは変わらない。




昔から―――。





あの日のこと。



私はとても悲しいことが起こって、一人寂しく泣いていた。



その時 君だけ、君だけが、私を励ましてくれた。



人が行き交う街の真ん中で ずっと、私が泣きやむまで。



でもその時差し伸べてくれたあの優しい手を、私は振り払ってしまった。




苦笑しつつも、彼は側にいてくれた。



それからだ、私が君に気を惹かれるようになったのは―――。







「……どうか、されました?」


ハッ


昔のことを思い出して、ついボーっとしてしまっていたらしい。



「な、なんでもないっ!」



これも、いつものやり取り。



こんな私に付き合ってくれる、君が大好き。


「そうですか…」


彼が笑う。


私も笑う。





そんな些細な幸せが、終わるとも知らずに。










「…ねぇ、聞きました? あの黄色王国の女王の話。」



「あぁ、あれね、あの緑王国の女王を……」







今日も流れる、私の話(エピソード)。




「……黄色王国の女王、1週間前くらいに処刑されたそうね。」





……ゾクッ



冷や汗が出た。




私は、ここにいる。




でも、君は――――。








今日も街の噂話から逃げるようにして、



私のお気に入りの場所(ところ)へ。







ザー……ン   ザーザザ――ン……





何回目だろう、一人で訪れたのは。




今日は、あの日のようなキレイな満月は出ていない。





そして手に持っている、古びたボトル。




「……これで、二回目だね……」





そよ風が頬を撫でる。




君がやったみたいに、投げはしない。



かがんで、水の中にそっと入れた。




ゆっくりと流れていく彼への手紙(メッセージ)。




不意に、あの時の記憶が鮮明に思い浮かぶ。






―――幸せになって、貰いたいから――――。






涙が出てきた。




「…あれ、おかしいなぁ……」




ぽたぽたと海岸に滴り落ちる、わたしのもう一つの想い。




「もう、泣かないって決めたのになぁ……」





あの日、手紙に書いたこと。





―――ずっとずっと、一緒にいられますように―――。






少し、後悔した。



名前を忘れた。



封も忘れた。



そして、自分で流せなかった。





でも未練はなかった。





遠くなっていく、私の願い。



微かな月の光に照らされて、光っている。






「…私のしたことは、 決して許されることではないけれど…」





遠く、なっていく。





「…もしも、こんな私の願いでも、叶うならば…。」





波がおだやかになった。






「―最後の私の願い、どうか、叶えてください…」






手紙に書いたことを、思い出す。








――――もしも、生まれ変われるならば……          …。――――








   …また出会ったとき、たくさんたくさん笑えますように――――。









手に持ったペンダントを、握りしめて、心から願った。







ペンダントの中の君も、きっと、笑っているだろう――――。




*END*



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リグレット=後悔   メッセージ=手紙  なので、


『後悔の手紙』って意味なんですよね


知ったとたん号泣


http://www.youtube.com/watch?v=2lAq5-reKvY


ちょっと、この物語の参考にしました。


ぜひぜひ


心々彩


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