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お届け物 (カムパネルラ)

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――ねぇ、…… どこ、行ったの…?


――遠い遠い星だよ


……トオイトオイ、ホシ…?


……うん、ずーっと遠くの、宇宙の果てに――





それからだ、私が宇宙に興味を持ったのは。


今日も教室で戯れている同級生の誘いを断り

屋上で一人、黙々とお弁当を食べる。


雲一つない、晴天。


宇宙も好きだけど、空も好き。

昼間なのに微かに浮かぶ月も好き。


「あそこに、いるのかなぁ……」



そんな妄想なんかして 図書館へ




「あ、これ 読んだことない…」


手に取ったのは、一冊の古びた本。


今まで 図書館にある「天体」関係の本は、全部読んだつもりだった。


「…こんな本、あったっけ……?」


首をかしげ中を見てみると



きれいな空模様の写真や宇宙誕生の秘話、星座などが載っていた。


「きれい……」


その本を見ていると、ある目次に目が留まった



‘‘あの人へ 想いを伝える方法’’


「……?」


そこに載っていたのは、小さな紙飛行機。


『カワグェーデの紙で紙飛行機を折り、空に向かって飛ばせば 想いは伝わるでしょう』



「……なにそれ、カワグェーデって何……?」


「てか、単純…」


周りを見回すと、図書館には自分一人しかいない。





「………そんなことできたら、こんなに苦労してないよぉぉぉぉっ!!」


大声を上げた。


なんて気持ちいいのだろう。



「……カワグェーデって、なんだよぉぉぉぉっ!!」


久しぶりだ、こんなに声を出したのは。



そのとき 窓から吹き込んだ風で、ページがぱらぱらとめくれた。



その本のページにはさまっていたのは、一枚の紙。



「……なにこれ」


シルクのように艶めいていて、いかにも高級そうな紙。



「…え、なにこれ、これがカワグェーデの紙です的な感じ?!」



誰も答えない。


聞こえたのは 風の音と、チャイムの音だけだった―――。





「…ほ、ほんとにやるの、自分……」


手に持っているのは、例の紙飛行機。


昨日一晩かけてフェルトでハート形をたくさん作った


その中には、一言ずつ想いを込めて書いた手紙が。



「…えいっ」


紙飛行機にハートをのせ、空に向かって飛ばした。



ひゅぅぅ…ぅ



ポトッ…


「あ……」


上手く風に乗れなかったらしく、5mほど飛んであっけなく落ちてしまった。



「…はじめからね、こんなものじゃ、届くはずないこと、知ってたよ…」




涙が出てきた。


「こんなもの…」



それは、失敗したからではなく、あの過去を思い出したから



「カ、パ… ネラ…」




もう、会うことはできない。





だから、せめて、せめてこのとめどない想いを伝えたかった。






生きている間に伝えられなかった、溢れんばかりの想い――。









―――時は経ち―――




宇宙飛行士になる。






その限りない可能性と夢のために、時間を費やしてきた





その時が、訪れた―






…12  11





「…ナルメリウスの 宇宙の船。」



 …10  9…




昔読んだ、あの古ぼけた本に書いてあった、魔法の船。






…8 7   6…




「ありったけの 想いのせて」





…5  4





  あの時  伝えられなかったこと。

   



      …3





「今」

 


 
     2…







「会いに行くから―――。」







     1…―――






   ……ゴォォォォッッ…ッ…ッッ








遠くなる、自分が生きていた星(地球)。




遠くなる、アノ人との想い出。




「…思い出した、昔もこんなこと………」





…自分は、何をやっているんだろう。



この世にもういない人を 追いかけて、追いかけて。



存在しないモノを、妄想するばかりで。





「…はじめからね、こんなもの(宇宙船)じゃ、届くはずないこと知ってた……」




    ポタ…



「……それだけ遠く、遠く  きみは行ってしまったんだ……」





    涙が――  止まらない――。



「……は…じめから、ね、 こんなものじゃ、……」





    ――――会えるはずないこと知ってたのに―――。




肯定するのが怖くて。



ただただ、現実から逃げて。




妄想の中だけで、きみは生き続けた。





     それでも僕は、







     ……それでも僕は―――――。







    …涙は、どこから来るんだろう。




視界がぼやける。







不意に、気配を感じた。





 振り向くと、




自分と対照的に、きれいに輝いている月のあたりに






アノ人が    立っていた――――。






……ような気がした





 涙のせいか    自分の甘ったれた脳髄のせいなのかは





わからなかった。







    La La La La……   La―――。




  もう決して会えないきみへ



        ありったけの想いを込めて
    



     力強く、歌う。





  今日も、星たちが笑っている





    もちろん、心も中の    きみも――――。




  *END*






☆.。.†:*・゜☆.。†.:*・゜☆.。†.:*・゜☆.。†.:


空好き、宇宙好きです



理科の授業はお眠りorお絵かきしてます


http://www.youtube.com/watch?v=IS3wXUQ2I3E


聴いてください(・・´)


閲覧、ありがとうございました♪。*



心々彩


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