突然の出来事




教室の一番後ろの窓際の席で、赤也は前で話している教師を無視し窓の外に目を移した。

昼休みが終わった後の5限目の授業。
眠い頭と満腹のお腹、それだけでも身体はだるさを訴えているというのに加えて今日の5限は英語ときている。

そんなものを俺が真面目に受けれるはずが無いではないかと、自分自身に強引な理屈をつけて外の景色を見続けた。
風が強いのか外では木ががさがさと音を鳴らして葉を揺らしている。涼しげなそれに目を奪われていたその時だった。


―え?


自分の周りから聞こえていたはずの音が突然姿を消したのだ。
驚き、視線を前に戻すもそこにあるのは教壇だけでそこにいたはずの教師の姿がない。
しかも消えたのは教師だけではなかった。先程まで席についていたはずのクラスメイトの姿も消えていたのだ。

突然の出来事に頭が追い付かない。
辺りを見渡した時、偶然目に入ってきた時計を見て固まった。

5時…?

目が可笑しくなったのかと目をこすり改めて時計を見てみるが、そこには変わらず5を指している時計があるだけだった。
どういうことなのだろうか?先程までは確かに時計は2時過ぎを指していた。
それがなぜ5時などをさしているのか。

信じられないことの連続に目を白黒させていると、後ろで教室の扉を開く音が聞こえた。