しんみりした日の赤柳 その日はとても寒い日であった。 昨夜降った雨のせいか何なのか今までの暑さが嘘のようにいっきに寒くなった。よく言う風邪を引きやすい気候であったのだ。 そんな中、赤也は柳の家に上がり込んでいる。 久しぶりの休みであったのでのんびりとお家デートをしていたのだ。 庭にある植物の葉が雨の雫をキラキラと輝かせていている。植物の名前を赤也は知らない。 「庭など見て楽しいか?」 普段であれば庭に目を向けない赤也に柳は後ろから問い掛けた。と、窓から庭を見下ろしていた赤也は振り返りもせず答える。 「何かいつもと違う発見があって気になるんスよ」 それは露を光らせる植物だったり、色の変わった土だったりする。 同じように窓から下を見て柳は「ほう…」と感心したように頷いた。 赤也がこのような事に興味を持つなど思ってもいなかったのだろう。それには驚きの色が滲んでいた。 それを受け流しながら赤也は再び庭へ視線を戻す。 「…たった一つの出来事でこんなに変わっちまうんスね」 そのままそう続けた赤也に柳は「そうだな」と同意した。 その様子を横目で確認しながらも、赤也の心にはちょっとした不安がたまっていたのだ。 それは自分たちのことで、付き合っているという自分たちだがもしもの時はと考えてしまってのことだった。 ちょっとしたことで変わってしまう現実。 それが赤也は怖かったのだ。全く自分らしくないとはわかっている。 それでもそうならないなんて言い切ることなど出来ない。 「…?」 黙って外の景色を見ていると突然右手に暖かいものを感じた。 はっと顔を上げれば自分の手を握る柳の姿があり呆気にとられる。 そんな動けない赤也に柳は言ったのだ。 「変わっても俺たちはこのままだ」 それを聞いて少し心が落ち着いた気がした。 ―やはりこの人には適わない。 そう思いながら赤也は握られている手のひらをぎゅっと握り返したのだった。 見ようによると柳赤に見えてしまうという事実^p^ back |