変態と参謀 ちょっとした私用で東京まで出ていた時にそれは起こった。 揺れる電車内。 満員とまでは行かないが、それでもやはり人の多い時間帯なので車内の人口密度はそれなりに高かった。 つり革に掴まる事も困難で、出来る限り端へよろうと壁ぎわに身体を寄せる。 人の間でおしくらまんじゅうされるだなんて洒落にならない。 しかしそれがいけなかったのか、ガラス越しに流れている外の風景を見ていたら突然足に違和感を感じた。 始めは手を動かした際に偶然当たったのだろうと思える程のものだったが、俺が何も言わないのを良いことにその手は他の者からは死角になる位置でズボンの上から俺の足を撫でまわしている。 いったい何処の物好きだ。 身長が180を越えている男の足を撫でて何が楽しいのか理解出来ない。 捕まえて文句の1つでも言ってやろうと後ろを軽く見た時、俺は自分の中でその者への怒りよりも呆れが勝ったのを感じた。 「……随分といい趣味をしているな、忍足」 「あ、バレとった?」 痴漢を働いていた相手に正体がばれているというのに忍足の顔には焦り等は全くと言っていい程無い。 寧ろこの状況を楽しんでいるとさえ感じられた。 「当たり前だ。取り敢えず警察へ行ってその根性叩き直してもらえ」 そう返せば「つれへんなぁ…」と苦笑いする相手。 世間に言わせれば俺の対応は正しいのでそんな彼を早々に放っておく事にする。 しかし俺の言葉を待っていた訳ではない忍足はそのまま続けた。 「でも綺麗な足しとる人がおったら触りたくなるっていうんが人情ってもんやろ」 …殴ってもいいだろうか。 いまこいつは明らかに間違った方向へと自分の主張を通した。 大体長ズボンを履いているのだから足など見えないだろうが。 心の中で散々そんな事を考えていたら、それがそのまま嫌悪として顔に出てしまったらしい。 忍足が泣きそうな顔になった。でもそれは自業自得だろう。 これでは氷帝の天才の名が泣くな。 「そう言えば、今度練習試合をという話が出ていたがそっちはどんな感じだ?」 「ん?ああ練習試合?跡部は来月の初め位がええ言っとったな」 「そうか、では此方もその日で考えてみるか」 しかし切り替えの早さは流石と言うべきか。 ほんの少し忍足を見直した。 「おう頼むわ。そうか練習試合か、楽しみやなー。自分何時もどおり短パンやろ?」 前言撤回。 どうやらこいつには一度きっちりお灸をそえた方がいいらしい。 (…練習試合は覚悟しておけよ) (え?今何か言うた?) そして練習試合当日はフルぼっこにされる忍足。勿論テニスで え、誕生日祝いだったのにあれ? これただの変態じゃないか^p^ →そしてそのままタイトルへ 忍足好きですよ! H23.10.28 back |