ジャージとアンタ ※赤也が一年生の時の話 あれは夏のくそ暑い日の事だっただろうか。 夏特有の強い日射しが暑苦しくて、俺はユニフォームの袖にさえ苛立ちを覚えそれを肩まで捲り上げていた。 そんな日でも真田先輩や柳生先輩なんかはきちんと正規の格好で部活に臨んでいて、見ているこっちが暑い程だったが文句など言えるはずもなく、出来る限り二人を見ない事でそれをやり過ごす。 暑さに弱い仁王先輩の姿はコートにすらなかった。 ここまで堂々とサボる事が出来ればもういっそ清々しいとさえ思う。 そろそろ自分も一度日影へ避難しようと考えたその時だった。 いつも長袖ジャージを着ている柳先輩が半袖で日傘をさしている姿が視界に入った。え?部活中に傘とかありなんですか? そんな疑問が頭に浮かんだが、3年の先輩に呼ばれて柳先輩が試合をするため傘を置き、半袖のままコートに入ったのを見てそんなものは吹っ飛んだ。 運動部にしては白過ぎる肌が太陽に当てられ段々と赤くなっていき、テニスという激しいスポーツのために時折ユニフォームの裾が捲れて腰やらお腹やらが…―。 もう見ていられなかった。 チェンジコートの際、水分を補給するためにベンチに戻って来た柳先輩に近づく。俺を見て「どうした?」と声をかける目の前の人に俺は問答無用でジャージを着せた。 そんな俺の行動に呆気に取られている柳先輩に向けて一言。 「そんなエロい格好でテニスしないで下さい」 この後、その言葉の意味を理解した柳先輩に無言で殴られたが、彼はその後の試合の時にはジャージを着るようにしてくれていたので俺は満足だった。 関東立海を読み直してたら、観戦の時は半袖なのに自分の試合になったらジャージ着てる柳さんがいたのでつい H23.09.30 back |