本心なんて、

嫌い嫌い嫌い

何度そう心の中で反復しても溢れる気持ちが止まらない。

心はもういっぱいで辛いのに。
そんな事お構い無しであの子は俺の心に入って来るのだ。

『柳先輩、大好きです』

そう言って繰り返し入り込んでくる彼を追い返して、平穏を守るように閉じこもる。

いつでもこうやって守ってきたのに。

騒めく心が煩い
思う心が痛い
応えたい、応えたくない

そんな矛盾した気持ちが苦しい。

…己の気持ちを告げれば楽になるのだろうか?

ふとそんな考えが頭を過ったが直ぐにそれを振り払う。
自分にそんなことする権利など無い。

俺は一度人を裏切っているんだ。傷つけてしまった、それを繰り返してしまうかもしれない…そんなことなら始めから受け入れてはいけないだろう?

だから俺にはあの子を受け入れるなんて事出来ないんだ。

嫌い、嫌いだよ

だからほら、早く諦めてくれ。

俺は出来の悪い人間だから、いつか我慢が切れてしまうかもしれない。

諦めるのがお前の為なんだよ。

早く、早く
ほら。

俺が頷いてしまうその前に俺の前から消えてくれ


(俺はお前を傷つけたくないんだ、)
END

断られてもめげない赤也と好きだけど嫌いだと暗示しながら赤也の告白を流し続けている柳さん
H23.09.21

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