登下校も一苦労
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廊下を進みながら保健医から受け取った封筒を開く。
覗いてみると、中に入っているのは紙切れ一枚だった。そこに書かれていたのは住所で、どうやら実里を此処へ連れてきた神様はそこへ向かわせたいらしい。
「…住所のみでどうしろと」
生憎実里は住所を見ただけでそこへ辿り着けるほどこの世界の地理に詳しくなかった。いきなり初めて訪れた世界の地理など把握していてたまるか。
「取り敢えずバックは明日探すかなあ…考えてみればラケットと着替え以外何も入ってなかったや」
元々部活へ行く為に用意していたものであったので、よくよく思い出すと大した貴重品は入っていなかった。いや、テニスプレーヤーとしてはラケットは結構重要なのだがそれは今使うことになる事はないだろう。
それに保健医も言っていたが、もう日が落ちているのだ。このまま野宿と言うわけにはいかない。
「えーと、何々…」
実里は改めて紙切れを見る。案の定知らない町の名前が書かれていた。
どうやら人に道を聞いて歩き回るしかないようだ。
「気は進まないけど仕方ないか…」
実里は一つ溜息をもらすと、早く休みたいと立海を後にした。
道行く人々に声をかけまくり、やっと目的の住所の場所へ辿り着く事ができた。
そこに立っていたのは一軒家ではなく大きなマンション。もう一度封筒の中身を見れば確かに部屋番号も記入されていた。
どうやら見落としていたらしい。
一刻も早く休みたいという思いから、実里は考える事も放棄してマンション最上階の部屋に飛び込み眠りについた。
今までのことが全て夢であればいい、と。
翌日。実里はかけた覚えもない目覚ましによって叩き起こされた。
眠い目を擦りながら辺りを見渡して絶望する。
実里が望んだ夢オチなんてことはなかったからだ。
「…うん、そう簡単に戻れないよね…はは」
自嘲気味に笑いつつ実里は学校へ行く準備の為に立ち上がった。
昨日の中年男性の言葉が事実であるなら、自分は今日だけは絶対に遅れる訳にいかない。転入早々遅刻魔のレッテルを貼られるのは勘弁である。
簡単に準備を終えると部屋に置かれていた鞄を手に家を飛び出した。あ、鍵はオートロックだったようなので問題ない。番号も暗記してある。
「よし、面倒だけど仕方ない!」
私はやるぞー!と叫びながら実里は立海へ向かったのだった。
勢いよく家を飛び出した実里だったが大切な事を忘れていた。
昨日は学校から家だったので気付いていなかったが、自分は此処から学校への登校ルートを知らない。
しまった、闇雲に聞き回ったせいで全く昨日自分がどの方向から家に向かったのか覚えていない。
「これ、遅刻確定じゃないか…?」
現在の時刻は7時15分を回ったところ。
学校から家までは1時間とかからなかったので順当に行けば間に合う計算だが、これはだめだろう。
朝ということもあってマンションの前の人通りはまばら、同じ制服の人を探そうにもまず制服を来た人がいない。
「いやこれは参った…本当にどうしよ…ん?」
もうだめかとマンション前に置かれてあった花壇に腰を下ろした時だ、目の前をさっぱりした頭の外国人と赤髪のガムを噛んでいる少年が通った。
…あれってジャッカルと丸井じゃないか?
自分の予想は恐らく間違いないだろう。彼らはテニスバックを持っていた。
ぶっちゃけた話テニス部と関わるとろくな事にならないので気は進まないがそんな事は言っていられない。
ということで実里は2人の後をつけることにしたのだった。
覗いてみると、中に入っているのは紙切れ一枚だった。そこに書かれていたのは住所で、どうやら実里を此処へ連れてきた神様はそこへ向かわせたいらしい。
「…住所のみでどうしろと」
生憎実里は住所を見ただけでそこへ辿り着けるほどこの世界の地理に詳しくなかった。いきなり初めて訪れた世界の地理など把握していてたまるか。
「取り敢えずバックは明日探すかなあ…考えてみればラケットと着替え以外何も入ってなかったや」
元々部活へ行く為に用意していたものであったので、よくよく思い出すと大した貴重品は入っていなかった。いや、テニスプレーヤーとしてはラケットは結構重要なのだがそれは今使うことになる事はないだろう。
それに保健医も言っていたが、もう日が落ちているのだ。このまま野宿と言うわけにはいかない。
「えーと、何々…」
実里は改めて紙切れを見る。案の定知らない町の名前が書かれていた。
どうやら人に道を聞いて歩き回るしかないようだ。
「気は進まないけど仕方ないか…」
実里は一つ溜息をもらすと、早く休みたいと立海を後にした。
道行く人々に声をかけまくり、やっと目的の住所の場所へ辿り着く事ができた。
そこに立っていたのは一軒家ではなく大きなマンション。もう一度封筒の中身を見れば確かに部屋番号も記入されていた。
どうやら見落としていたらしい。
一刻も早く休みたいという思いから、実里は考える事も放棄してマンション最上階の部屋に飛び込み眠りについた。
今までのことが全て夢であればいい、と。
翌日。実里はかけた覚えもない目覚ましによって叩き起こされた。
眠い目を擦りながら辺りを見渡して絶望する。
実里が望んだ夢オチなんてことはなかったからだ。
「…うん、そう簡単に戻れないよね…はは」
自嘲気味に笑いつつ実里は学校へ行く準備の為に立ち上がった。
昨日の中年男性の言葉が事実であるなら、自分は今日だけは絶対に遅れる訳にいかない。転入早々遅刻魔のレッテルを貼られるのは勘弁である。
簡単に準備を終えると部屋に置かれていた鞄を手に家を飛び出した。あ、鍵はオートロックだったようなので問題ない。番号も暗記してある。
「よし、面倒だけど仕方ない!」
私はやるぞー!と叫びながら実里は立海へ向かったのだった。
勢いよく家を飛び出した実里だったが大切な事を忘れていた。
昨日は学校から家だったので気付いていなかったが、自分は此処から学校への登校ルートを知らない。
しまった、闇雲に聞き回ったせいで全く昨日自分がどの方向から家に向かったのか覚えていない。
「これ、遅刻確定じゃないか…?」
現在の時刻は7時15分を回ったところ。
学校から家までは1時間とかからなかったので順当に行けば間に合う計算だが、これはだめだろう。
朝ということもあってマンションの前の人通りはまばら、同じ制服の人を探そうにもまず制服を来た人がいない。
「いやこれは参った…本当にどうしよ…ん?」
もうだめかとマンション前に置かれてあった花壇に腰を下ろした時だ、目の前をさっぱりした頭の外国人と赤髪のガムを噛んでいる少年が通った。
…あれってジャッカルと丸井じゃないか?
自分の予想は恐らく間違いないだろう。彼らはテニスバックを持っていた。
ぶっちゃけた話テニス部と関わるとろくな事にならないので気は進まないがそんな事は言っていられない。
ということで実里は2人の後をつけることにしたのだった。
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