さよなら私の日常 | ナノ

早起き罰当番
[9/10]

翌日の朝は辛かった。
掃除などずぼらな実里にしたら汚くなったらやればいいじゃんというレベルのものなのである。しかし幸村直々の罰なのであるからサボるわけにもいかない。
その結果、目覚ましをいつもより1時間早くかけ誰よりも早く部室に向かう事になったのだ。しかしこれはあくまでも実里の願望であった。なんたって実里よりも早くに部室にいた人物がいたのだから。

「今日は随分熱心だな九条」

学校に着き鍵の開いていた部室に不思議に思いながら入れば中には既に真田の姿があった。
…いくらなんでも早すぎやしませんか、まだ6時前だぞ。
そう思った実里であったがそういえば彼は早起きだったと思い出して納得した。

「…真田凄く早いんだね」

半分呆れながらそう返す。
きっと彼は他の部員が来るまで自主練でもするつもりなのだろう。
自分も掃除をしなければならないのだと掃除用具入れに手を伸ばした。

「そういえば昨日お前は蓮二と試合をしていたな」

唐突に話題を振られ簡単に相槌を打つ事で同意する。昨日のあれは始まりこそ不本意だったがとても楽しかった。
無意識にほうきを持った手が軽やかに動く。

「蓮二が伸びると言っていたぞ」

「え?」

折角ノリに乗っていたのに手が止まってしまった。
なんだって?誰が誰に対して伸びると?

「蓮二が九条に対してだ」

どうやら声に出してしまっていたらしく即答される。
先程の言葉は幻聴ではなかったようだ。しかし元の世界で予選落ちしてしまう自分が伸びるなんて嘘みたいな話に聞こえた。

「柳も口が上手いねーじゃあ私掃除終わったし行くね」

本気にすることも出来ずに部室を後にした。
この後柳からまさかの練習メニューを受け取る事になるのだがまあそれは後で話そう。

それよりも実里にとって大きな事件が起きてしまったのだ。

仁王が無理矢理つれて来たということで許可をもらえたが、ミーハーな女の子の多い立海でマネジャーしつつ打ちます!などと豪語している実里はぶっちゃけた話他の部員に白い目で見られた。本人にその気はなくてもそう見られてしまうのは必然である。
しかし昨日の試合を観戦したメンバーが「練習後ならラリー付き合うぜ」と申し出てきたのだ。実里ははじめ何の冗談かと思っていたが相手はどうやら本気らしく約束までさせられてしまった。
いったい何がそこまで彼らの気持ちを変えさせたのか理解できなかったが、ラリーの相手をしてくれるなら願ったり叶ったりだと大して気にも留めなかったのだった。

それがまさか問題を引き起こすなんて思ってもいなかったのだ。


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