縮こまった黒い子猫の体を出来るだけ冷やさないように毛布の上に寝かす。
親に反対される可能性も考えて、今日1日は誰にも言わずに部屋においておこうと考えた。 毛布の上で小さく震える姿はとても痛々しい。 椅子に腰掛けねこを見守っていたが、このまま見ているだけではいけないと頭を働かせる。 「(食べ物は食べてくれるだろうか…しかしねこ用のは家にはないし…)」 そしてせめてこの子の食べれる物を用意しよう。 そう結論に至った俺はその子を部屋に残してペットショップへと急いぐ。 学校から帰宅した時よりも幾分か足が軽い気がした。 目的の物は簡単に見つける事が出来た。 子猫用と記されたねこ缶を数日分手に取る。いくつか種類があったが、どれが1番いいかなんて事は分からなかったので栄養価の高そうな物を選んでおいた。 これで暫くはあの子猫の食べ物に困る事は無いだろう。 部屋に残した子猫の事が気がかりで、早く帰ろうと立ち上がった俺の視界にあるものが入る。 それは柔らかい素材で出来た猫じゃらしで、柄でも無いのについついそれをかごに入れてレジへと向かっていた。 どうやら俺は本格的にあの子猫の事を可愛がってやろうと考えているようだ。 そんな自分に気付いてふっと笑みを浮かべた際、レジの店員が俺から目を逸らしていたがそのまま気にせず店を出た。 明日の事は、明日で構わないだろう。今は一先ずあの子猫が優先だ。 行きよりもいくらか雨足の弱まった中を進みながら、俺は子猫の事をどう家族に説明するかと言うこと考えていた。 prev / next [ back to top ] |