ねこのいる1週間 | ナノ

02









流石の赤也も昼休みにあんな事があったので一緒に帰ろうとは言いだせ無かったらしい。



朝見た予報では20%にも満ていなかったのにも関わらず降り出した雨の中を1人、重い足取りで帰る。
まあ、梅雨を迎えたこの時期には仕方のない事だろう。しっかり傘を用意していた俺にとっては降ろうが降るまいが大して変わりの無いことだ。



今日の部活には幸か不幸か参加する事が出来なかった。まあ理由はお馴染みの生徒会関連な訳だが、この際この話は置いておこう。



つまりは、だ。
部活にも行っていない、クラスにレギュラーメンバーもいない、そんな俺は昼休みのあの一件を誰かに問いつめられるという事は無かった。しかし、それは恐らく気を使ったあいつらが大方赤也の方に集中したからであろう事は容易に想像出来る。



そう、つまり俺が質問攻めに合うのは明日。それも赤也が答えた事により言い訳の余地が無い状態で、だろう。
そんなのは憂鬱以外の何物でも無いではないか。帰宅する足だって重くなるというものだ。



はあ、と普段ならしない溜息を付く。そんな俺の視界に入って来たのが冒頭でのあのねこだった。


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