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丸井のそんな姿に柳は呆れたように理由を述べる。


「これはスナック菓子だろう?部活中に持ち歩いているなど感心しないな」

「今更だろぃ?!」

「ガムとスナック菓子は違うと思うが…」


あまりにも必死な丸井に笑ってしまった。
それに対して丸井に睨まれてしまったが、まあしょうがないだろう。


「丸井、俺も柳に同意だ。」
「幸村くんまで…!」


柳だけでなく俺も続いた事がショックだったのか、丸井は傍から見てすぐ分かる程に肩を落としていた。
そんな丸井を見て今までまあまあと場を宥めていたジャッカルが口を開く。


「2人とも、確かに部活中に持ち込んでたのはいけねえかもしれねーけどよ…ブン太だって食べてたわけじゃねえし今回は見逃してやってくれねえか…?」

「ジャッカル…!」


そのフォローに嬉しそうにジャッカルを見上げる丸井。その姿は大方面倒見のいい兄か、もっと言えば保護者にすら見えた。


「……甘いなジャッカル」

「うん、甘やかし過ぎだよジャッカル」


しかしその光景がいかに微笑ましかったとしても許してやるかどうかとなれば話は別だ。
柳も考えは同じだったようで「放課後までは俺が預かろう」と部室のロッカーの中にへとそれをしまった。
再び肩を落とす丸井。

その姿を横目に映しながらも柳に続いて部室に入る。
随分とのんびりしてしまっていたが朝礼の時間が迫っている、早く着替えを済まさなければならない。


ぱっぱとユニフォームを脱いで制服のポロシャツにへと腕を通す。


「大分、勘が戻ってきているようだな」

「ん?」

「テニスの話だ」


隣で着替えていた柳の言葉を聞き逃して、聞き返した事への返事にああ、と納得する。


「真田にも言ったけど、問題無いよ。お前達は本当に心配性だなあ…」

「大切な親友の事なのだから、当然だろう?」

「ふふ、ありがとう」


当たり前の事だと言ってくれる事が素直に嬉しかった。しかし、"親友"という光栄であるはずの言葉にズキリと痛む胸に気付く。


「精市?」


恐らく表情が消えてしまっていたのだろう。戸惑うような柳の言葉にはっとする。


「何でも無いよ」


いつの間にか部室の中にはレギュラーの姿で一杯になっていた。一足先に来て着替えていた俺は、既に着替え終わったのでパタンとロッカーの扉を閉じてそのまま部室を後にした。

ずっと前から自分の中にあるこの感情につける名前を知りながらも、未だ俺はそれに向き合えていない。


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bkm
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