散々に散らかった部室内。
そんな部室の後片付けも程々に、それぞれが自主トレをしてくると部室を後にした。
結局、最後まで残っていたのは俺と真田と柳だ。
床に散らかった物を少しずつ片していく。
「ふふ、凄く楽しかったなあ」
「お前が無事戻って来てくれて何よりだ」
「しかしあやつらは最後まで片付けもせんとは…」
今にも怒鳴りながら出ていきそうな真田を柳が「まあまあ」と宥める。
「今日は精市の退院祝いだ。わざわざ波を立てることもあるまい、大目にみてやれ」
そう言う柳から同意を求めるような視線を受けて、俺もにっこり笑いながら真田へと「そうだね、今日は大目にみてやろうよ」と投げ掛けた。
真田だって鬼では無い。
俺達2人がそうやって止めればしぶしぶといった感じではあったが、仕方あるまいと帽子のつばを下げた。
それは真田の一種の照れ隠しだってことを俺も柳もわかっているので、真田からは死角になるところでひっそりと笑いあった。
つばに隠された顔にぎこちない笑みが浮かんでいる事を俺達は知っている。
「だが明日からは容赦せんぞ!」
立ち直りの早い真田が宣言したセリフに「勿論」と頷く。
まだ体力的に不安な面がある俺だからこそ、早くみんなに追いつきたいと思ったのだ。
俺の心情を察してか、隣にいた柳がぽんっと頭に手を置いた。それがまるで「焦らなくてもいい」と言っているようで、何だか心がむず痒く感じる。
実際残された時間は少ないので、そうのんびりとはやっていられないのだけれど。柳が言っているのはそういう事では無いのだろう。
「大丈夫だよ」
相手を安心させるように、自分に言い聞かせるように、俺は力強くそう告げた。
それに応えるかのように頷き返してくれる2人。
「そろそろ、俺達も行こうか」
最後のゴミを袋にまとめて、俺は立ち上がった。
「久々に打つか、幸村」
「えー?手加減しないからね?」
「む!俺は負けんぞ!」
「弦一郎、精市は病み上がりだ」
「そうだったな」
「もー!もう大丈夫だって言ってるのに」
俺がぷんぷんと怒る素振りを見せた所で3人で笑いあう。
そんな会話を楽しみながら俺達は部室を後にした。
→
――――――――
まだ幸村さんと柳さんは付き合ってないです
ほのぼの3強が好きすぎて