半年ほどお世話になっていたベッドの周りを片付ける。
あまり物を置いていないし、そこまで汚なく使っていなかったので大した汚れもなかったが、「借りた物は借りた時より綺麗にして返す」というのが俺のポリシーなので念入りに掃除もした。
開けていた窓から入ってくる風がとても気持ちよい。
窓からそっと外を見れば、青々とした空が広がっていた。
ここからの光景を見るのも今日で最後だ。
「幸村くん、片付けは済んだかしら?もう必要無いなら今日中に持って帰ってもらえるそうよ」
「あ、はい。わかりました」
後ろからした声の主はこの病院で働く看護師のものだ。
彼女の言葉を聞いて、横に分けておいた荷物を掴む。これにはもうここで生活をすることは無いので、不必要になった日用品が入っている。
そう、俺は明日この病院を去る。
だからこの病室とも今日限りでお別れなのだ。
長かった入院生活を終え、やっと皆のもとへと戻る事が出来る。
「…ブランク分を早く埋めなきゃね」
目指すは全国三連覇。
今まで頑張って来てくれた仲間達への感謝を伝えるには、それが一番いいと思った。
温かく迎えてくれるであろう仲間達のためにも、俺は出来る限りの事をするだけだ。
窓から入った風が、悪戯に戯れながら俺を追い越して行くのを背中で感じた。
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始まりました幸柳連載
でも案外CP要素は少なくなる気がします、はい