窓際の花壇がうすい日差しに照らされていた。まあるく止められたとてもうすくてきれいなカーテンをさっきオフィリアがさわっていた。そのオフィリアは一人用のソファで座っている。彼女の家のバレエ教室は小さな路地に面した小さな角にある。彼女の家は日当たりがいい。

「ギアッチョにいわれたんだってね」
「私のスタンドは彼といっしょにはつかえないんだって」

 何枚にもかさなった白いスカートの上でオフィリアは手を揃えた。大きな猫目はいろをのせた震える睫毛をかたむける。

「ほんとはそんなことないの。彼のスタンドが橋を凍らせても、私の酸は溶かすことができるの。シャイニーレインの雫はたえず体からでているのだから。そりゃあ距離はへっちゃうけど。彼のスケート場じゃあ、この足でも、くるりとすべれて、私、ちょっと楽しかったのに」
「ちがうよ、オフィリア。ギアッチョがいいたいのはそんなことじゃないんだよ」

 オフィリアの爪先と板張りの床を思い出す。昼の光のなか、暗いばかりの建物でくるりと回るオフィリアを思い出す。ひらりと手をふるうだけできみに価値がある。俺たちだけ分かればいい。