「副会長さんっ!!なんてことしてくれるんですか!!」 「あれ?何か問題あった?」 部屋がゆれそうなほどの足音とすごい剣幕で怒鳴り散らしたガゼルは白い顔をしていた。 「ふっふく…」 「ああ」と呼ばれた男は紅茶のカップを置き和やかな声を出した。 「やぶいちゃった」 「なっなんで破いちゃうんですか?そんなに邪魔だったんですか」 「そんなことないよ?」 ガゼルの表情が固まる。相手はにっこり笑っている。 「そんなに大事だった?」 「いえ。そんなことはないですけどね、でも、びっくりしますよ。昨日脱いだ服が、今日洗濯しようとした服が、びりびりになってるんですから。ひどいですよ」 「じゃあ今度買ってあげるね」 いりっませんと言おうとした声は喉がひきつって出なかった。
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