青白い手がぬいぐるみを抱く。哀れですらある。声を掛けてやることはなかった。隣でビーンズさんが書類に目を通していた。長机を通り過ぎ、私たちは部屋を出る。パンダの置物は亥の席に鎮座する。傲慢だと口にすることもできない。わがままだと目を合わせることもできない。今頃副会長さんは無い体温に錯覚をしているのだろう。私はまだ注意してあげない。じきに雨が降る。