しばらく耳を塞いでいた。でもそれに意味がなかったのは、私の耳が無駄に大きいからでもなくって、どこを向いても、その話が聞こえてきてしまうからだった。




 窓をのぞくと武器を持った人間たちが入り乱れていた。私は船の奥の部屋から階段を駆け上がった。甲鈑に出るとさっきよりずっと大きな声と音が耳を劈いた。ぐるぐる周りを見回すと、眩暈がした。海賊がたくさんいたのだ。赤髪船の船員たちが、驚いて私を見た。


「ネーニア、何やってる!どうして表に出てきたんだ!」


 みんなも焦っていたけど私も焦っていた。連れ戻そうとした人に腕を掴まれて足がもつれた。飛び交う砲撃の中、一つ耳慣れた銃声がして、掴まれた腕をかすめた。ほとんど当たらなかったけど、火傷したように熱かった。私もその人もびっくりして、ぱっと手を離した。その瞬間に羽音がした。


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