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神前決闘が終わったすぐの頃、カリカーラ国王が再び床に伏せ、ついに息を引き取った。すぐに葬式は上げられたのだった。

そして、その後の事。


「アルスラーン殿に、スーリ殿……」

「こんにちわ、ジャスワント」


牢に入っていたジャスワントが解き放たれ、兵に連れて来られると、そこにいたのはアルスラーンとスーリそして護衛に着いたダリューンだった。
アルスラーンとスーリは笑顔を向け、ジャスワントを見つめた。


「なるほど。これはあなた方が……」

「あぁ。少し、話せないだろうか」


彼らは廊下を歩きながら会話を進めた。
ダリューンは少し離れたところでアルスラーンとスーリを見守っている。


「ジャスワント、貴方はこれからどうするつもりなの?」

「さて……此処に残っても、もう、私の居場所など」


ジャスワントはエメラルドグリーンの瞳を逸らしながら、どこか悲しそうに言った。
彼らと歩いていたスーリは身をひるがえし、ジャスワントと向き合うように止まり、言葉を繋ぐ。


「ジャスワント。もし、貴方が良ければ私たちと一緒に来る気はない?」


スーリの言葉にジャスワントは目を見開いた。
続いてアルスラーンが言う。

「あぁ。そこが、お主の新たな居場所になればいいと、そう思う」

「……」


どうだろうか、とスーリやアルスラーンは問う。しかし、即答できないジャスワントはただ驚くように目を開いていた。
するとそこへ、スーリやアルスラーンを探していたラジェンドラが現れる。


「こんなところにいたのか、アルスラーン殿にスーリ殿」

「ラジェンドラ殿……」


二人が振り返りラジェンドラを見ると、ジャスワントは一例をしてその場から去ってしまった。


「ところで、今夜開かれる宴に参加してくれぬか」

「宴……なんの宴です?」


ラジェンドラはスーリの問いかけに、薄く笑うのみだった。




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夜。城内で派手に煌びやかな宴が開かれた。大量の食事を前に、踊り子が宴を盛り上げる。
宴の中心にいるのは、シンドゥラのもと王子ガーデーヴィ。


「何故、宴を開く。あやつは王族とはいっても、重罪人だろう」

「聞いたことがある。シンドゥラでは王族を処刑する前に、大量の食料と酒でもてなすのだと」


不満げにいうダリューンにナルサスがそう説明する。


「なるほど。酒で酔ったところで、ってわけか」

「ガーデーヴィにとって、これは最後の宴とわけじゃな」


ギーヴやファランギースも続けて言う。

少しばかり時間がたつと、宴に参加する準備に遅れたアルスラーンとスーリが、エラムと一緒に宴場に来た。
シンドゥラの人々は声をあげる。


「パルスの王太子アルスラーン殿と王女殿下のスーリ殿だ!」


二人はシンドゥラの貴族たちに軽く会釈をし、宴の席に向かおうとする。
すると、中心の宴の席からラジェンドラの声が響いた。


「静めよ! ガーデーヴィ!」


途端、ガーデーヴィは女官が持って行った食器を奪い取り、それを割って破片を片手にスーリたちに向かって走り出した。


「パルスの小僧に小娘が! 思い知れ!!」

「っ!」


突然のことで対処しきれないナルサスら五人は慌てて立ち上がるが、すでにガーデーヴィは二人の目の前まで来ていた。
すると、アズライールが何処からか羽ばたき、ガーデーヴィの片目を貫いた。

たちまち痛みによってその場で蹲ったガーデーヴィに、ラジェンドラが呆れ顔で言った。


「やれやれ、未練なやつだ。あの世で父上に性根を鍛えなおしてもらえ」


ラジェンドラが合図をすると、進んで処刑人の三人がでてきた。ガーデーヴィは目の前に斧を突き付けられる。
それは段々と上へ持ち上げられ、やがて、それは振り下ろさせた。


――翌日、彼の首はさらし首となって飾られた。


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