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翌日の会議。


「挙兵…できない…?」


会議でアルスラーンは呆然とした。

それを言い出したのが万騎長バフマンだった。


スーリはアルスラーンの椅子に手をかけて隣に立ち、その両脇にいるダリューンとナルサスが挑発や非難の言葉を言い放つ。

スーリはただ黙って話を聞いていた。

バフマンはナルサスの言葉に腹を立てたのか、立ち上がり部屋を退室した。


「怒ったか」

「いや、退室して追及されるのを避けたのだ」


両脇のダリューンとナルサスがそう言う。
アルスラーンは目を伏せ、スーリはそんな弟を眺めていた。

部屋を退室し、アルスラーンたちはその部屋の前で立っていた。
というのも、バフマンについて話していたのだ。


「実はアトロパテネの開戦の直前に、大将軍ヴァフリーズ殿からの手紙が届けられたのだ。それ以来、あのように変わられてしまった」


キシュワードが事情を話すとダリューンが反応を示す。


「伯父が手紙を…?」

「俺が知っているのはそこまでだ。内容は見当もつかぬが」


そこまで聞くと、扉の前で話を聞いていたファランギースがナルサスに言う。


「ナルサス卿にも見当がつかぬのか」

「俺は千里眼があるわけではない」


スーリやファランギースは隣にいるアルスラーンを見つめる。
アルスラーンの表情は変わることなく、肩を落とし視線を地面へ向けていた。






日が沈みかける、夕方ごろ_。


赤い太陽がアルスラーンを照らしていた。

アルスラーンは城壁の回路へ出ていた。
浮かない顔をし、頭では多くのことを悶々と考えていた。

夕日を眺め溜息をついた時、隣にスーリが現れた。


「姉上」


驚いたとアルスラーンは言うようにそう呼んだ。

スーリはアルスラーンに笑いかけると、何も言わずに夕日を眺めた。
アルスラーンも何も言わず、同じように眺める。

ただただ静寂の時が二人の間には流れていた。
けれど窮屈ではない。むしろ穏やかで、心地よかった。

アルスラーンは悩ませていた頭を休め、安堵するかのようにそっと息を吐き出した。



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