まさしく、それは死闘であった――。


アチャー・古代ウルクを治めた最古の王、英雄王ギルガメッシュと、ライダー・古代エジプトを治めた太陽王、神王オジマンディアスの戦いは、激戦であった。どちらも油断せず、一歩も引かない状態が長く続いた。全力投球と言ってしまってもいい。出し惜しみをせず、かの王らは真正面からぶつかり合った。

オジマンディアスにギルガメッシュの数多な宝具が降り注いだ。
それに対し、オジマンディアスはライダーの特権である自分の手にする宝具を放った。

熱砂の獅身獣アブホル・スフィンクス――。
それは純粋種の竜に並ぶ幻想種たる“神獣”。大型トラック以上の巨体をもったスフィンクス。その身体能力はサーヴァントに匹敵し、物理法則を無視したかのような速度で空中を疾走し全方位攻撃を行える。また強靭な前足の爪と獅子の牙もち、しかもそれらを衝撃波が発生する程のスピードとパワーを振るう。爪は魔力によって赤熱化させることも可能であった。

何体も出てくるそれらを、ギルガメッシュは宝具を展開して蹴散らしていく。神獣といえど、彼の宝物庫の中には幾多と神獣を殺しえる宝具が存在する。

そして、光輝の大複合神殿ラムセウム・テンティリス――。
それは古代エジプトにおいて建造された光り輝く神殿が複層的に折り重なって偉容を為す、全長数kmにも渡る超大型複合神殿体の固有結界。生前に「過去現在未来すべての神殿は自分のためにある」と宣言したことと、実際に過去に建造された数多の神殿にまで手を加え美化を施し、我が物としたことにより、生前自身が建築した神殿のみならず、自分が関わっていない神殿まで複合されている。無数の内部神殿群は“神獣”スフィンクス達が神殿内部を守護している上に、それぞれが対応する神々に由来する結界が展開されておりファラオに対する絶大な祝福と不敬な敵対者への呪いが神威として備わっている。

海に聳え立った神殿に閉じ込められたギルガメッシュも、これには少々手こずり、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。そして膨大な魔力量を使う宝具――天地乖離す開闢の星エヌマエリシュを打たせることになる。

固有結界は破壊され、神殿は崩れ去り、姿を消す。神殿から逃れたギルガメッシュとオジマンディアスは、再び瓦解寸前の橋に姿を現し、対峙した。

征服王イスカンダルとの戦いと重ねて宝具を使い、ギルガメッシュも少々魔力を消費しすぎた。
一方、それはオジマンディアスも同じこと。いくらマスターからの魔力供給が切れず絶えず流れ込んでくるとしても、再び満たすには少々時間がかかる。

どちらも一歩とひかず、対峙が続いた。

そのとき、ふとギルガメッシュが何かに気が付きふと振り返った。「ふむ、そろそろか」背後に振り返ったギルガメッシュは、独り言のようにそうつぶやいた。


「どうやら今回は此処までのようだ、太陽の」

「なに?」

「これ以上は埒があかん。貴様との相対は、次に残しておこう」


フッとギルガメッシュは口端を上げる。それにオジマンディアスは肯定するようにフン、と吐き捨てた。お互い魔力を使い過ぎたことを理解している。これ以上はらちが明かないことも、理解している。ゆえに深追いせず、ここは黙ってうなずいた。

「次を楽しみにしておるぞ、太陽の」そう言って、ギルガメッシュは霊体化して姿を消した。激戦の末、地面が抉れ、瓦礫まみれになった橋に、オジマンディアス1人が残った。

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