「こうして会うのは、いつ以来でしょうね」


愛らしくも透き通った声で、最愛の少女が嬉しそうに微笑み再会を喜んでいた。

彼女の名はネフェルタリ。穏やかで愛らしく、心優しい女性。 また、余と共に戦場に立つ勇気も持ち合わせていた。
唯一敬愛した、最愛の妃。


「こうしてまた笑いあえることが、僕は何よりも嬉しいよ」


ネフェルタリの言葉に頷き、白い肌を持つ少年も心から再会を喜んだ。

彼の名はモーセ。子供の頃に親に捨てられ、母に拾われ育てられた。 聖人とし、自分の事よりも周囲の幸福を願う、優しい心を持っていた。
最愛の友人。自分と並び立つに相応しい才能と人格を有した無二の兄弟。

――愛していた。
――余は誰よりも、この二人を、心から愛していた。


「ラーメス」


最愛の妻が、余の名を呼ぶ。
最愛の友が、余の名を呼ぶ。

奏でる音は美しく。あの日々は何よりも輝いていた、幸せだった時代。
もし、友の肌が透き通った白い色をしていなければ、この何ものにも代え難い日々は続いていたのかもしれない。
もし、最愛の妻が早くも命を落とさず最後まで寄り添っていてくれれば、心の空洞を埋めてくれていたかもしれない。

しかし、それはもう過去の事。過ぎ去ってしまった時代。
悔いがあるわけではない。あの日々は、いつまでも輝き続ける幸福な時間だ。後悔や悔いを抱くなど、最愛たる二人への侮辱だ。

だが――なぜか。

なにかを、忘れている気がする。
なにか、大切な事を。
なにか、大切な者を。

いつも一歩引いたところで、微笑みを浮かべ、見守っていた――大切な存在を。

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