どんどんどんどん増えていく [ 6/12 ]


「もういい加減にしろっ!」

休日、せっかく大学の長い長い講義もなく
のんびり出来ると思っていたのに
朝早くに起こされたかと思うと
連れてこられたのはショッピングモールの洋服売場。

いろいろな店に足を踏み入れては
シゲルの良いと思う服を店員の手によって着せ替え人形の様に着ては脱ぐ、着ては脱ぐ、を繰り返され
大人しくされるがままだったサトシも、ついには着せられた服を脱ぎ捨てては泣きはじめ
そんなサトシをシゲルは勿論の事、周りにいた店員達もなだめるのだった

「…ゴメン、サトシ…朝が弱いのに早く起こしたりして」

「お客さま、泣かれるとせっかくの可愛いお顔が台無しですわ」

「うるさいっ!俺はもう帰る!」

「待ってサトシ!まだ新しい下着を買ってないじゃないか!今の下着じゃもう小さいんだから買わなきゃ駄目だろ!!!」

「したっ!!?//…ーっ!!///」

いい加減買い物を終えるかと思うと
まだ下着を買っていない!と真面目な顔で抗議をするシゲルに
サトシは下着のサイズを把握されていた事に顔を赤く染めながらも
何だか相手が真面目な分、怒っている自分がだんだんアホらしくなり

「ハァ…早く下着を買って帰るぞ」

「良いのかい?」

「確かに小さくなってきてたし、それに買うまで帰らないつもりだった癖に」

「あはは」

結局今までいた店でもサトシが試着した服はシゲルによって全て買い取られ

次に行った下着売場でも
なんの迷いや恥じらいもなく下着を手にするシゲルに苦笑しながらも
会計の済んだ沢山の紙袋を手に
家へと帰るのだった。


(こんなに買って、もうタンスにしまいきれないんだけど)

(じゃあ新しいタンスを買おうか)

(……………。)




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