君専用 [ 10/12 ]
たまには歩いて出掛けよう
そんなサトシの提案で
僕たちは今、二人でウインドウショッピングを楽しんでいた
「もうそろそろマフラーとか手袋の用意しないとなっ」
「そうだね」
車での外出じゃないため
今日は少し厚着をしてきたものの
冬へと移り変わる秋空の風は
厚着をしていても寒さを感じる程に冷たく
「ほら」
「えっ…?」
そう言って手を差し出せば
彼女はどうしたのかと首を傾げながらも
暫くすると僕が差し出した手の理由を理解したらしく
「やっぱり、今日は歩いて外出して良かったかもな!」
「そうだね」
少し冷たくなった手で僕の手を握る彼女に微笑みながら
繋いだ手を自分のコートのポケットの中へと入れ
「こうすれば、もっと暖かいさ」
「本当だっ、これなら今年は手袋いらないかもな」
「サトシの手ならいつでも暖めてあげるよ」
嬉しそうに微笑むサトシの姿を愛しいと感じながら
改めて自分は幸せ者だと実感していた
「僕の手はサトシ専用だからね」
「バカっ//」
僕の手は君専用
なら、サトシの手も僕専用。
(明日から大学通学も歩きにしようか)
(それは嫌だ)
(………。)
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