勘違い




「さぁ、ご飯にしましょうか」

ハナコとサトシを目の前にした状態で席に着き
目の前に出された夕食に食欲をそそられながらも

自分が来てから無言なままのサトシが気にならない筈もなく

「やっぱり僕、帰ります」

居づらさと彼女の機嫌を損ねてしまった罪悪感から
シゲルはそう言って席を立つと

ハナコが静かに口を開き

「せっかく久しぶりにシゲル君が来て嬉しい癖に、変な意地をはるのもいい加減にしなさい」

「嬉しくなんてないし、意地もはってないっ!!!」

「そぅ…ならあの事をシゲル君に言っても構わないわね?」

あの事?と首をかしげているシゲルとは裏腹に
ハナコの口を手で塞いでは慌てるサトシの姿に
自分が知るとサトシの都合が余程悪くなるのを知った
シゲルは静かに腰をあげれば
この際だからちゃんと話し合いましょうと
真剣な表情でそう言ってきたハナコに
シゲルはもう一度腰を下ろすのだった。

「サトシ、自分でシゲル君に言うか私が話すか貴女が決めなさい。」

「…自分で、話す」

「そうね、偉いわよサトシ」

そう言って頭を撫でるハナコに
サトシは恥ずかしいのか自分の頭を撫でるハナコの手を掴んで離すと
少し考えた後、初めてシゲルの顔を真っ正面から見つめ

「…聞いちゃったんだ」

「聞いたって、何を?」

「高校に入って、シゲルがジュン達と話してるとき…俺の事なんて嫌いだって言ってたのを聞いたんだ」

堪え切れずに溢れ出した涙を拭いながら
そう言う彼女に

僕は
彼女が僕を避けていた理由と
自分の馬鹿さを思い知らされていた。




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