忘れ物はなんですか



「…何でマフラー忘れるかな」

日誌を職員室へ届け終わり
鞄を手にしてから思い出した忘れ物に
明日持って帰ればいいか、と考えながらも
身に付けていた物を付けて帰らなければママが心配すると考え
再度教室へと向かったサトシ

(…まだ生徒会は終わってないみたいだし大丈夫だよな)

いつも一緒が当たり前だった様に
顔を会わせない、関わらないが当たり前になってしまった今は
なるべく彼に会わないように行動していたサトシにとって
いつもとは違う行動はただ教室に忘れ物を取りに行くだけでも怖いと思う程で

そして
嫌な想像ほど現実になる、とゆうことが
今まさにサトシにおきていた

「……な、んで」

「サトシ…。」

目の前にはかつて一緒に過ごした幼馴染みの姿

「っ!」

そして彼の手に握られていたのは自分のマフラー

「サトシッ!!!」

どうしたら良いのかわからなくなったサトシは
その場から逃げるため勢い良く走り出し

後ろから彼の声が聞こえていたが
動揺していたサトシには彼が何を言っているかなどわかる筈もなかった。

「…サトシ」

彼女が身に付けていたマフラーを握り締めながら
シゲルも足早に教室を後にし


この時
二人の止まっていた時が静かに動き始めた。




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