貴方の支えになりたい


ポツ…ポツ…と
何かが頬を伝って行く

(…水?…嫌、違う…)

それが何かは
目を開けた瞬間にわかった
嫌、開けなくてもわかっていた

それが
彼が流す涙だと言うことは
わかっていた。

「どうした?」

いつも笑顔な彼が
俺の上に乗りながら泣いているのは
弟、アツヤが
彼の中から消えてしまった時以来かも知れない

「まもるは…僕の傍からいなくならない…?」

「いなくならないよ」

「どうして?何でそう言えるの?」

ぽろぽろと涙を流しながら
少し苛立ちを含んで怒鳴る彼に
俺は体を起こして抱きしめる

「ほら?聞こえるだろ?…俺は生きてる、生きてこうして吹雪の傍にいる」

「…っ怖いんだ…まもるがいなくなる夢を見て、それが現実になったらって思ったら…怖くて…」

「大丈夫、俺はいなくならない」

絶対だ。
そう言って優しく抱きしめると
吹雪は何度も頷きながら
俺の体を強く抱きしめていた

「…ゴメンね、まもる…。」

「気にするなよ、お前の気持ちはわかってるから」

「…ゴメン、ゴメンね。」

アツヤが居なくなってから
夜、吹雪が不安定になることが度々起こっていたが
心の支えが無くなってしまったら、きっと誰でもこうなってしまうと思う

だからこそ
俺が吹雪を支えていかなくてはいけないんだと改めて実感した

「ほら、俺はここにいるから安心して寝ろよ」

「……ぅん」

「おやすみ吹雪」

せめて夢の中だけでも
彼が悲しい出来事を忘れられるように
幸せな夢を見られるようにそう願いながら
握られた手を握りかえすのだった。






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