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相合傘



「雨が降ってきそうだね」

「そうだな-…まぁ俺は濡れても気にしないけど」

逆に濡れて帰りたいかも
なんて言って微笑む君に苦笑しながらも
それだけは勘弁して欲しがった


雨自体降って欲しくはなかったんだ

彼女は絶対に濡れて帰りたがるのは知っていたし
それが原因で帰り道は雨のせいで濡れた衣服から下着が透けるのを彼女は知らないから
そんな彼女の姿を道行く知らない人間に見られる事は僕にとって拷問以外の何物でもない

それなのに


「うわぁ、どしゃ降りだなっ」

「嫌、そんな嬉しそうに言わないでくれるかな?」

「だって、どうせ傘をさしても濡れるし、傘持つのもめんどくさいし」

「濡れたら君のお子様下着を皆に見られるけど、君はそれでもいいのかい?」

そう問い掛けると
濡れて帰るのは諦めた様だが
傘をどうしようかと悩んでいるサトシに
シゲルは軽く苦笑するとサトシの頭へと優しく手を置き


「…シゲル?」

「傘なら僕の傘があるじゃないか」

「借りていいのか?」

「まさか、僕と一緒にひとつの傘で帰るんだよ」


それは俗に言う
『相合傘』


(これなら毎日でも雨が降って欲しいかも)

(俺は今すぐ晴れて欲しい)


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