ポケモンSS | ナノ
激情
真っ赤な服(ドレス)
真っ赤な口紅(ルージュ)
それを身に付けた君は僕だけのものだった
なのに
なのにどうして
「サトシ…?」
彼女の隣には僕以外の男(人)はいてはいけないのに
彼女が僕以外に微笑むのも
話す事もいけないのに
なのに、どうして
「僕以外の人間の傍で微笑むの?」
そう聞いても彼女は答えない
あたりまえだ
首を絞めているんだから答えられるわけがない
「こんなに、こんなに愛してるんだ」
ヒュッと彼女が喉を鳴らしたと思うと
彼女は両手を男の頬に添えニッコリと微笑んだ
(俺も好きだよ)
唇を動かし、声にならない言葉を言う彼女に
男は絞めていた手を離すが
彼女が息をする事もなければ言葉を話す事も、もうない。
「あぁ…あぁぁぁああっ!!!」
彼女が添えていた手も今は地面につき徐々に温もりを失いつつあった
「…サトシ、…サトシサトシサトシッ」
抱き締めても彼女が僕に微笑むことも
話すことも、もうない。
「僕は…何て事をっ…サトシッ…うわぁあああああああ!!!!!」
絶望し涙した彼は
安らかに眠る彼女に口づけをすると
こめかみに当てた銃の引き金を静かに引くのだった。