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おやすみ


おやすみ。

そう言って彼女は微笑みながら静かに目を閉じた。

他の人が見たら彼女はただ寝ているように見えるだろう。

例えもし彼女が寝ているだけだとしても
それは永遠に目覚めない眠りだ

おはよう。と何度囁いても
彼女は目覚めない

「やっぱり、僕には君が死んだなんて思えないよ」

彼女の頬に触れると
生気の無い肌から冷たさと固さを感じながらも

今こうして目の前にいる彼女は
数時間前まで自分と会話をし、笑顔を浮かべていた

「サトシ…」

不治の病
そう聞かされた時から
彼女はこうなる事を覚悟していた
その上で1日1日を大切に幸せそうに生きていた。

けれど

「やっぱり僕は、君みたいに強くなれないよ…」

そんな彼女(サトシ)とは裏腹に
こうなってしまう事を覚悟していなかったシゲルは
眠るサトシの手を握りしめながら
ゴメン、と囁くのだった。

「…ずっと君だけを愛してる、おやすみサトシ。」

眠る彼女の唇へとキスをし
止めどなく頬を伝い落ちる涙を拭いながら
シゲルはサトシが眠る部屋を後にするのだった。


(俺もシゲルの事、ずっとずっと愛してる)


頬を伝っていった風にのって
そう彼女が囁いているように感じながらシゲルは頬を伝う涙を拭うのだった。


(僕も君だけをずっとずっと愛してる…だから今は)

ゆっくりおやすみ。


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