ポケモンSS | ナノ
裏=表
好きだって
君に伝えられたら
どれだけよかっただろうね
「キミなんて大嫌いだ、顔も見たくない」
そんなことないのに
僕の口からは気持ちとは裏腹に彼女への拒絶の言葉が飛び出す
「っ…俺だって、俺だってお前なんか大っ嫌いだ!!!」
そう 彼女に言わせたのは僕なのに
「…ゴメンッ…。」
泣きながら走り去る君を見つめながら謝る僕を
どうか憎んでください
「愛してるよ、サトシ…」
そして
キミにこんな形でしか好きだと言えない卑怯者の僕を
許してください
「誰よりも、愛してるんだっ…」
彼女を傷つけた僕には泣く権利なんてないのに
僕の気持ちとは反対にとめどなく流れる涙
「駄目だな僕は」
「ブラッ・・」
「僕とサトシはコインの表と裏みたいだ」
明るく思いやりもあって他人のために必死になれるサトシ
それに比べて
暗く自分のことしか考えていない自己中心的な自分
そんな僕たちが初めから合うわけがなかったんだ
そう思うと
可笑しくて自然と笑っている自分がいた。
「僕達は絶対に上手くいかない、そうわかってるのに…僕はサトシ以外を愛する事が出来ないんだ…」
「ブラッキィ-…」
だからこそ
「こんな僕に好かれたサトシは、可哀相だと思わないかい?」
そして
これ程まで君を求めても
僕の思いはきっと君には届かない
そんな敵わない恋だと知って
足掻く僕はただの馬鹿だ。
「いっそ彼女を孕ませてしまおうか?」
それは一つの選択肢。
だけど
それはきっと、今の彼女を失うことになる
それだけは避けたかった。
「本当に僕達はコインの裏表だ」
誰よりも近くて
誰よりも遠い
そんな悲しい裏と表な僕達
(願わくば未来の君の隣には僕がいる事を願って-…)
2011/05/07