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年に一度のHappyDay



「シゲルなんか嫌い嫌い大っ嫌い!!!」

そう言って僕の目の前で号泣している彼女は僕の幼馴染みのサトシ

何故彼女がこんなにも泣き叫び
僕に嫌いだと連呼しているのか。

答えは簡単
彼女との約束を僕が忘れて研究の為にと森にこもっていたからだ

「だからゴメンってさっきから謝ってるじゃないか」

確かに忘れていた自分が一番悪いのだが
だからと言ってここまで嫌いだと連呼され続ければ
こちらだって多少は傷付くし苛立ちも感じ始める

「…の日はっ…」

「なに?」

だがそんなものは
彼女の一言によって吹き飛ばされた

「その日はお前の誕生日だったんだぞっ!!!」


顔を真っ赤にさせてそう怒鳴り付ける様に言う彼女に

僕までも頬に熱が集中するのを感じ
きっと僕も顔を真っ赤にさせているんだろうと思いながらも
言うだけ言って泣いているサトシを抱きしめれば彼女は何度も馬鹿と言いながら僕の胸を叩いていた

「…本当にお前は馬鹿だっ…俺との約束も…ましてや自分の誕生日も忘れるなんて…」

「ゴメン」

「もういい…シゲルなんかもう知らない」

涙を拭き、僕の腕の中から出ていこうとする彼女を逃がさないように
少し力を強めて抱きしめれば
サトシはなにも言わないまま
無言で僕の胸に顔を埋めていた

「…ゼント、用意してたのに」

「え?」

「誕生日プレゼント、用意してたんだ…」

そう言って彼女が指を指した先には冷蔵庫があり

「もしかして誕生日ケーキを作ってくれたのかい?」

誕生日のプレゼント、それも冷蔵庫にあるものと考え
ケーキを思いついたシゲルはサトシにそう問うと
サトシは無言で頷いていて

「食べてもいい?」

「シゲルのなんだから好きにすればいいだろっ」

「ありがとうサトシ」

チュッと彼女の額にキスをして
冷蔵庫を開けると
そこにはサトシにしては綺麗に出来上がっているケーキがあり
それを手にしてきっと自分はにやけているに違いない

「気持ち悪っ」

そう言ったサトシの言葉で
自分がにやけていたんだと知り苦笑しつつも
手にしたケーキをテーブルに置くと
皿とケーキナイフやフォークを持ってきたサトシと隣同士に座ると

恥ずかしそうに歌うサトシの歌を聞きながら
1年に一度の自分の誕生日を祝うのだった


(…美味しい?)

(サトシがあーんしてくれたらもっと美味しくなる)

(言ってろ)


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