お留守番


妖怪と言えど
今の世の中、森の中の物だけで生活していくのは厳しいわけで

父様は赤い日になると
人間界へとオシゴトに行くらしい

何でも
鬼道が言うには働かざる者食うべからずらしいけど
俺には良くわからなかった。

ただ
父様がオシゴトに行くこの日は
とても胸が苦しくて妙に泣きたくなる日だった

「今日は雑誌の撮影だけだから夕方には帰ってくるからね」

「………ん」

「だから僕がいない間は守が家を守って待っててね」

優しく頭を撫でながら何処か困ったら様な表情をしている父様に
大丈夫だからと言って笑うと
まだ何か言いたげな父様に手をふって
オシゴトに行く後ろ姿を見送るのだった。

「…夕方ってゆう事はお昼はひとりか」

シュンと猫耳を垂らしながら
家へと入ると
いつもは暖かく感じる家の中が
何だか冷たく感じ

それが更に
守の寂しさを膨らませていた

「…っ、グズッ……あ」

そんな時
余程オシゴトと言うものに行くのに焦っていたのか
いつもならある筈のない
吹雪の着物が脱ぎ捨てられていて

守は静かに着物を手に取ると
着物から香る吹雪の匂いに少しだけ寂しさを忘れると

着物を手に
今はいない吹雪の部屋へと
向かうのだった。


(ただいま守!今日は思ったよりも早く終わったよ!…あれ、お昼食べてない)

(…zzZ)

(お留守番ご苦労様)





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