拾ってください

(あんなにはしゃいで…)

キョロキョロと辺りの風景を見つめながら楽しそうにおつかいをする守の姿を
吹雪は電柱の影に隠れながら見守るものの
ただ人間に変化しただけではモデルの吹雪士郎とわかり大騒ぎになるからと
今は人間の女性に変化しているものの
美女が小さな子の後をつけるその姿は、逆に人目につく訳で

「…親子って訳ではなさそうよね」

「若いし美人なのに、人って見かけによらないわね」

そんな吹雪の行動に怪しさを感じたのか
そう話しては過ぎ去る女性達に
吹雪は今までの自分の行動を思い出して苦笑いを浮かべると
咳ばらいをして足速にその場から離れるのだった。

「アツヤ、俺が行ったら驚くだろうなっ…ん?」

フフッと笑いながらアツヤの驚く顔を想像していると
ふと視界に映ったそれに守は足を向け


「…拾って、ください?」

そう描かれた紙が貼られたダンボールの中には吹雪ぐらいの大人が正座していた。





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