親ばなれ
照美達が遊びに来てから数日が過ぎ
吹雪は最近の守の態度に違和感を感じていた。
「ねぇ、守」
「何?父様」
「この距離は何かな」
今までなら食事を取る時も
二人でひなたぼっこをする時も
隣にいた守が
今では人ひとり分の隙間を空けるようにしては
何故か自分と距離を置いていて
理由がわからない分、吹雪にとってはどうしたらいいかわからない訳で
「僕が何かしたなら謝るよ?」
「別にしてないよ」
「なら、最近僕を避けてるのはどうしてか聞いてもいいかな?」
「………。」
守を膝の上と座らせ
うしろから抱きしめながらそう問い掛ければ
守はチラッと吹雪の顔を見た後
ポツリポツリと静かに口を開き始め
「晴矢達が言ってたんだ…もう赤ちゃんじゃないんだから親に甘えるのはおかしいって」
「守は僕に甘えるのが嫌なの?」
「嫌じゃないけど」
「照美君達の子達はもう甘えないのかも知れないけど、うちでは守が嫌じゃないなら僕に甘えても良いんだよ?」
「…本当?」
「うん、僕だって守にはいつまでも甘えて欲しいからね」
知人の子とはいえ
守の異変の原因が照美の子達だと知った吹雪は次に逢ったら泣かすと思いながらも
今は自分に抱き付いてきながら甘えている守と一緒にひなたぼっこを楽しむのだった
(もしもし照美君?…次に君の子に逢ったら僕、泣かせちゃうかも知れないけどいいかな)
(…あの子達、また余計なことをしたみたいだね)
(ちょっとね)
(何なら今度の仕事は一緒だろうし、たっぷり可愛がってあげてよ)
(うん)
(今度御詫びに守ちゃんへプレゼントを贈るよ)
(ありがとう照美君)