サッカーは完璧じゃなくても楽しい
それは
まるでキャプテンの事を言っているようで
「豪炎寺くんはキャプテンとのサッカーを心から楽しんでるんだね」
「当たり前だ、アイツがゴールを守ってくれているから俺も安心してプレイが出来るしな」
「僕は…」
お前は違うのか?
そう言ってゴールに触れる豪炎寺を見つめながら
吹雪は手にしていたボールを強く抱きしめた
「僕もキャプテンと戦いたくて…キャプテンとプレイをしたくてここに、皆と一緒に居る」
「なら、完璧にこだわらなくてもアイツらとのサッカーは楽しい筈だ」
「…そうだよ、キャプテンや皆は完璧にサッカーをしたいなんて思ってない、皆でサッカーを楽しむためにプレイしてる」
あぁ、何でこんな事を忘れていたんだろう
答えはいつもすぐ傍にあったのに
僕はもう少しで
彼の大切なサッカーを裏切る所だった
「僕も皆とサッカーを楽しむよ」
「あぁ、アイツもきっと喜ぶさ」
「…今日はありがとう」
認めたくはないけれど
自分よりキャプテンの事を理解しているのは
ずっと彼の傍にいた豪炎寺くんな訳で…
恋敵のおかげで自分がしたいサッカーを思い出せても
何だか借りを作ったようで複雑な気持ちだった
「でもっ!だからってキャプテンは譲らないからね!!!」
自分らしくない捨て台詞をはきながらも
豪炎寺の驚いている顔に内心満足しながら
僕は彼の元へと足を走らせた。