「少し、落ち着いた?」
「…あぁ、ありがとなヒロト」
あれからひとしきり泣き叫び
一先ず落ち着こうというヒロトの言葉に部室へと移動すると
守はこれまであった出来事をぽつりぽつりと話始め
「そうだったんだ…、でも守はこうして傷付いても吹雪君の事が好きなんだね」
「ヒロト?」
「…俺も円堂君の事、好きだよ…でもこんな状態の君に告白するのは嫌だ、…だから君も君の気持ちに素直になって?」
「ヒロト…」
「振り向いちゃ駄目だよっ、今行けばきっと間に合うから」
入口へと守を向かせ
優しく後ろから背を押すと
振り向こうとする守を叱ってもう一度背を押してあげると
守は吹雪の元へと走り始め
「…本当、君が彼女をあんな顔して追い掛けて来なかったらこんな事絶対にしなかったのに」
先程廊下で見た吹雪の必死な表情を思い浮かべながら
ヒロトは1人部室で守が吹雪と会えるよう想うのだった。
(吹雪っ…吹雪っ!)
教室、中庭と彼を探しても見付からず
またも泣きそうになりながらも廊下の窓から外を見つめれば
いつも彼と一緒にいた場所に行ってない事に気付き
(居てくれっ)
そう願いながら守はまた走り出した。