「なぁ吹雪」
「なぁにキャプテン?」
「雪が溶けたら何になる?」
「?…雪が溶けたら水になるよ」
はらはらと降る雪を見つめながらそう問う彼女に
その時の僕はそうとしか答えられなかった。
「確かにな、雪が溶けたら水になる…でも違うんだよ」
「違う?」
けれど
「雪が溶けたら、春になるんだ!」
そう言って微笑む彼女の姿を見た瞬間
そうだと納得してしまう自分がいて
彼の凄さを改めて思い知らされていた。
「だから俺は冬が、雪が好きだ!」
「うん、僕もキャプテンの話を聞いたら好きになれそうだよ」
冬が、雪が嫌いだった僕
けれど彼女の話を聞いた瞬間
この嫌いだった冬を好きになれそうだと降り積もる雪を見つめながらそう感じていた
「パパ!雪っ!」
「そうだね、ましろは雪が溶けたら水になると思う?」
「雪が溶けたら?」
「うん」
「春になるよっ!」
あの時の彼女と同じ答えを言う愛しい我が子に
はじめは驚いていた僕だったが
この親にこの子あり、とはまさにこの事だと思いながら
雪が溶け、春が来るのを愛しい人達と待つのだった。
(士郎-ましろ-、ご飯出来たぞ-!)
(はぁーい)
(今行くよ-)