「……まもる…?」
朝起きて
まず始めに視界に入る君の寝顔
それが今日は
隣で寝ているはずの君の姿もなくて
ふと頭の中によぎったのは
あの吹雪の日の夜の事…
「嫌だよ…」
君まで失ってしまうなんて
「そんなの嫌だっ」
ベッドから飛び出して
客室…お風呂場…キッチンを見ても
愛しい彼女の存在は何処にもなく
あるのは
彼女がいない冷え切った部屋…
「まもるっ…」
目頭が熱くなるのを感じながら吹雪はその場に膝を抱えるようにしゃがみ込んでいると
玄関の方から
冷たい風とともに足音が聞こえ
「起きたのか…って、なんで泣いてるんだ!!?」
自分の方へと近づいてくる足音と向かって来てるであろう人物に
吹雪は弾かれた様に顔を上げれば
そこには新聞を手に慌てている彼女の姿
「まもる…」
「ん?…どうしたんだよっ」
自分の腕の中にすっぽりとうまる彼女を抱き寄せて抱きしめれば
守は優しく微笑みながら吹雪の頭を撫で
「…僕に黙っていなくならないで…」
吹雪はそんな円堂の行為に少し恥ずかしいのか視線を反らしながらそう言えば
守はああ!と笑顔で答え
「でも、俺…ちゃんとベッドにメモ置いて置いたんだぞ?…今日急に雷門で朝練をやることになったから朝食と弁当の準備したら出掛けるって」
見てなかったのか?と言って苦笑している円堂の言葉に
吹雪は寝室へと向かうとそこには彼女の言った通りにメモが置かれていて
「本当…だ」
「だろっ?…でもまあ、誤解が解けたなら朝食にしようぜ?行くにはまだ時間もあるし」
「うんっ」
ほら、と言って僕の手を引く女の温もりを感じながら
僕はひとり、彼女の大切さを実感していた
「守…大好き」
「俺も士郎の事、大好きだっ」
ずっとずっと
彼女のこの笑顔を彼女の隣で見続けていきたいと思いながら
今はただ彼女の暖かさを感じていた
(今日は僕も一緒に行ってもいいかな?)
(士郎さえ良いなら俺は大歓迎だ!)