自虐行為は裏切りゆえに
2012/02/14 00:00

チキチキチキ

手にしているカッターの刃を限界まで出して腕へと当てれば
白い肌にスッと赤い線が走り
それを何度も何度も繰り返す。


「サトシッ!!!!!」

そう自分の名を叫んでカッターを取り上げた幼馴染みを睨みながら
カッターを返せと腕を伸ばせばシゲルは駄目だと首を振りながら
チキチキチキとカッターの刃をしまい始め

「返せよっ!!!」

「…サトシ」

「ああしてないと、心が痛いんだっ…駄目なんだよっ…」


カッターが手に入らないなら、と
サトシはそう言って涙を流しながら
自分の爪で傷口を引っ掻きはじめ

「やめろサトシ!!!やめてくれっ!!!」

「…無理だよ、止めたらきっと俺の心は壊れる…でも、体の傷なんて時がたてば治る」

「そうだとしても、そんな事をする君を見る僕の気持ちも考えてくれ!!!」

震える声で声をあらげるシゲルの姿に
サトシはゆっくりと視線をシゲルへと向ければ
幼馴染みの彼は止めどなく涙を流していて

「ぅあ゙…俺…っ…そんなつもりじゃ…なかっ…っ、うわぁぁぁああん!!!!」

滅多に泣かない彼の泣き顔に
サトシはその場に泣き崩れると、シゲルはそんな彼女に大丈夫だよ。と言いながら優しく頭を撫でるのだった。


体の傷はいつか治る
だからこそ心の痛みを隠すために少女は自分の体を傷付け続ける。

そして
彼女の傷は彼が彼女への裏切りをやめない限りまた増え続けるだろう。

(ゴメン、サトシ…ゴメン)

(


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