H.キミと俺。

「ちょっと何してるのっ!」
「2人でコソコソと....」

..........げっ!

うそだろ、タイミング悪すぎる。
なんで今この2人がここに!?
隣を見ると、柚木さんは『やばい』雰囲気を醸し出していた。

「り、りんご....」
「り、亮ちゃん....」

同時に呟いて、俺たちはまた顔を見合わせた。
いま出た言葉は、自然と出てしまった言葉なわけで、
ということは、俺は柚木さんの身体で『亮ちゃん』って言ってしまったわけで、

あぁ、もう終わりだ....!

「へー、通りで何か変だと思った」
「説明してもらいたいなー!」

異様な笑みを浮かべながら、近づいてくる2人に、俺たちはただただ後ずさった。
てか、なんか怖ぇよ!;;;

「や、その話はあと!とりあえず2人ともここの空間から離れて!」

慌てて言ったその瞬間、


----


「........っ!」
4人同時に言葉にならない悲鳴をあげて、
昨日みたいに、目の前が真っ白になった。


.


.


.


.


「ん........」

あ、俺......
気づくと俺は靴箱で横たわっていて、周りを見渡すと3人が倒れていた。
亮ちゃんと、大嶋さんと......柚木さん!?
じゃあ、俺....元に戻れた?

俺は自分の手のひらを何度も見て、それから柚木さんに駆け寄った。

「柚木さん、柚木さんっ」

俺の呼びかけに、かすかに閉じていた瞼が動く。
それからゆっくり起きた柚木さんは、俺と同様自分の手のひらを見て小さくため息をもらした。

「戻れたんだね......」
「うん、ほんとによかった!」

ふっとお互いを見合って微笑んだ瞬間、小さく聞こえたうめき声。
その声の主は、亮ちゃんだった。

「あっ....り、亮ちゃん!大丈夫?」

俺は慌てて頭を抱えて起きあがった亮ちゃんの元へ向かう。
柚木さんもまだ倒れている大嶋さんの所へ走って行った。

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