不良とシスコン、時々天使 | ナノ


この間水内と話した通り、中学の同級生何人かとそこそこ大きいプールに行くことになった。
女子もいるし更衣室のとこでは桜を預けて(と言っても家で下に水着着させたから脱ぐだけだけど)、早く着替え終わった男子で場所を取ることにする。

「何だかんだで会うの久々だよなー」
「確かに」
「桜ちゃんに誰?って言われた時はショックだった」
「仕方ないだろ、あの時三、四歳だし」
「でも水内のことは覚えてたじゃん」
「お前らより遊びにきてたからな」
「つーかあの時、お前ら付き合ってたの?」
「いや、付き合ってない」
「へー」

中学時代の話をしながら時間をつぶしていると、漸く着替え終わった女子がそこに加わって、準備体操もそこそこに、何人かがプールに飛び出していった。
桜は誰よりも丁寧に準備体操をしている。偉い。流石俺の天使。

「佐藤、顔だらけてる」
「桜マジ天使」
「わかるけど」

水内に指摘されたけど、まあ仕方ないことだ。
だって可愛いんだから。

「俺荷物見てるから、桜と遊んでやって」
「いいの?」
「誰も残ってないのも不安だろ」
「ありがとー」

取れた場所は運よく日陰になっていて、そんなに暑くもない。
浮き輪をつけた桜と手を繋いでプールに入る水内を見送ってから、俺は地面に腰を下ろした。

そういえば、蒼志は今日夜来るって言ってたっけ、どっちだろう。
夏休みに入ってから、会う回数が減るかと思えばそれは逆で、会わない日の方が減っている気がする。
連絡があったりなかったり気ままに来るけど、あいつが近くに居るのが当たり前すぎて、何の違和感もなくなってしまった。
……それに、まあ、会えるのは嬉しいし。

「つーちゃーん!」

ぼーっと桜を眺めながらそう考えていると、その桜がこっちに手を振っている。
やっぱり可愛い、今ここに居るひとたちの中でダントツに可愛い。
手を振りかえすと、にやにやと笑ってる同級生たちが見えた。
あ、こいつら、ろくなこと考えてない。

「「「つーちゃーん!」」」

男は中学の時より幾分低くなった声で、女子もふざけて高い声で、声を揃えて俺の名前を呼んだ。
周りのひとが何だ何だとそれを見てきて、いたたまれない。

ああ、もう。そんなとこは変わってないんだな。
仕方なしに手を振ってやると、あの時と変わらない笑顔ではしゃいでいた。

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