怪我は額の上を軽く切っていただけだったようで、血の割には大きな傷跡は無かった。
まあ一番大変だったのは、桜が泣き止まないって言う…。
俺が手当てしてるところでやっと桜が不良の怪我に気付いたみたいで、わーわー泣き始めた。
わかる、わかるよ桜、髪の毛と同化してたもんな、このイケメンがまた来てくれたことに最初は頭一杯だったんだよな、桜だって女の子だもんな、それにまさか連日怪我して来るとは思わなかったんだよな。
何て心優しき天使。
だけど桜、お兄ちゃんはまだ許しませんよ。
じっくりと吟味してやるからな…!
で、手当てが終わり、泣き続ける桜を抱き上げてあやせば、何とか治まって、そのまますぐに寝てしまった。
ソファーに座る不良の横に、小さい体を横たえると、奴がこちらを見ながら苦笑を浮かべている。
「子供って本来こういうもんだよな」
「は?」
「いや、うちも弟居んだけど、小さい頃から全然泣かねぇから」
「へえ…弟さん、今おいくつですか?」
「あー、今年で9か」
「結構歳、離れてますね。うちもそれに関しては言えないけど」
「兄貴も居てさ、面白ぇことに兄貴俺弟と8つずつ違うんだよな」
「そうなんですか」
…ん?
8つ、違い。
つまり、それって。
あれ。
「何だよ」
いや、何だよ、じゃない。
弟さんが9歳だから、8つ違い、ってこと、は。
「同い年…!?」
「何、お前高2?」
「まあ、はい、」
詐欺だろ…同い年でこれとか……。
「で、浅ヶ丘なわけか」
「何で、」
「制服」
「あ」
浅ヶ丘、てのは俺が通っている、ここから歩いて徒歩20分程度の高校だ。
確かに、学校帰りに桜の迎え行ったりしてるし、今現在も制服。
学ランじゃなくブレザーだから高校の特定も簡単だろうし。
ここらの徒歩圏内の高校って言ったら、浅ヶ丘くらいしか無いしな。
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