不良とシスコン、時々天使 | ナノ



「以上でよろしいですか?」
「あ、はい」

夏休みだからか、それとも元からこうなのか、店は学生っぽい人間たちで賑わっていた。敷居の低いファーストフードのチェーン店だから、柄のよろしくない連中は沢山居て、正直近寄りたくない。

トレーを店員さんから受け取って席を探すものの、あいている席は柄の悪い連中の傍、喫煙席の方だけだった。

ああもう、こういう店にひとりで来ることなんて滅多にないからこうなるんだ。
さっさと食べてさっさと帰ろう、むしろ持ち帰りにすれば良かった。

席に付いて、早々バーガーにかぶりつく。
たまに食べると美味しいけど、毎日これじゃあ身体壊しそうだ。



かつん。

黙々と食べていたうちに、突然、俺のテーブルに手が置かれた。

おい……ちょっと待て、絡まれるのはごめんだ。

「えーと、…つかさ、せんぱい?」
「へ?」

無視を決め込もうとしていた時に名前を急に呼ばれて、思わず顔を上げ、………え、誰?

「つかさセンパイ?であってますよね」
「え、あ、はい、司ですが……」

柄の悪い、茶とも金ともつかない髪色の男。面識は無い。なのに、何で俺の名前を知ってるんだ。

「ほら、やっぱりな!」
「やっぱそうかー」
「お前よく覚えてたなー」

男は少し離れた席の似たような連中に投げかけていたが、俺は訳がわからない。
誰だ、一体誰なんだ。

「あ、俺たち覚えてます?」
「いや、…すいません」
「ですよねー」
「俺たち、よく屋上居るんすけど」

軽いノリで話してくる相手にビビってたけど、屋上という言葉を聞いて脳が動いた。

屋上。屋上っていうと、あれか。学校の。蒼志達といる。
つまり、そういう。

「……ええと、すいません、名前までは…」
「あ、センパイ、俺たちのが年下なんで!」
「あ、はい、そうですか」
「だから敬語とかやめてくださいよー、ね?」

……いやいやいや。
どうして俺はその、蒼志の知り合いというか、まあ一応俺の後輩でもあるけど、そんな連中に絡まれてるんだろうか。

「一度センパイとお話してみたかったんすよねー」

……どういうことだ、これ。


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